<巨人9-3中日>◇11日◇東京ドーム

 度肝を抜く1発だった。6回、先頭で打席に立った巨人小笠原は低めのカーブをすくい上げた。打った瞬間、走るスピードを緩めた。完ぺきな当たりだった。右中間スタンド最深部の最上段にボールは弾んだ。勝ち越しの8号ソロ。試合の流れを一気に引き寄せた。「うまく打てたと思います。飛んだ?

 分からなかったよ。まあ飛距離は関係ないしね」と振り返った。

 左ひざ手術後の今季、患部をかばいながらの活躍で、体の疲れはピークに達している。前夜は体のケアを終えると早めに球場を引き揚げた。「今日はお口も休ませてもらっていいかな。明日、活躍してしゃべらせてもらうから」と、話をする余裕もないのを申し訳なさそうにしていた。しかし、その言葉どおり、一夜明けたこの日のヒーローになってみせた。

 開幕からチームでただ1人、打順を変えずに3番を打つ。打率や打点を見ればまだまだ本来の姿ではないが、存在がチームに与えるものはそれだけでない。この日、初スタメンでお立ち台に立った隠善も、小笠原が実践する片手で打つティー打撃を取り入れている。「若手の活躍はチームにとってもプラスになる。いろんな力がかみあえば、しっかりした戦い方もできる」と、これからも背中で引っ張っていく。【竹内智信】