日本ハムが北京五輪期間中の秘密兵器として、2年目のダース・ローマシュ匡(たすく)投手(19)の英才教育に乗り出すことが12日、分かった。エースのダルビッシュが日本代表への招集が確実で、その穴を埋める逸材として期待。インド人の父と日本人の母を持つ、同じ190センチ超の長身右腕を、今季最大のヤマ場のキーマンに据えた。

 独特の彫りの深い甘いマスクに、モデル体形のすらりと伸びた手足…。遠目で見たファンが、よく間違うほど「そっくりさん」のダースを“ポスト・ダルビッシュ”の1番手に決めた。6日西武戦でプロ初先発し、白星こそ逃したが、5回4安打1失点。好投したにもかかわらず、翌7日に出場選手登録を抹消。真夏の大ハンディを埋めるのが、その狙いの1つだった。

 今週の2カード終了後に開幕する、交流戦期間中は先発陣は5人構想。現状で多田野を含めて6人おり、1人は余る状態だ。梨田監督は、ダースの先発復帰を「今のところは考えていない」というのが当面の方向性。高く投球内容を評価し、1軍で中継ぎ起用も可能だが、先発1本で急ピッチで育成する方針。昨季は右ひじ故障などで1、2軍で登板なしと不足している実戦経験を積ませ、先発として使える戦力へと磨くつもりだ。

 13日のイースタン・リーグ楽天戦(鎌ケ谷)で先発し、まずは「ダルビッシュ化」への第1歩を切る。1軍初マウンドでは球数の上限を「100」に設定していたが、今後少しずつリミットを上げられるように段階を踏む。島崎2軍投手コーチは「まだまだやることがある。中継ぎで投げる投手じゃないので、先発で使っていく」と秘密兵器にするための意欲は十分だ。

 ダルビッシュは今季すでに5勝を挙げ、いまだ1敗。五輪期間中には4試合前後先発できない見込みで、懸案事項だった。稲葉が招集される可能性も濃厚で、投打の柱を欠くことになるが、ダースの登場で、ようやく一筋の光が見えた。日本人離れしたスタイルのダルビッシュには珍しい「そっくりさん」の191センチ右腕に、リーグ3連覇への正念場を託すことになりそうだ。