<広島9-3阪神>◇13日◇富山
これがアニキの真骨頂だ!
阪神金本知憲外野手(40)が広島戦の9回、プロ野球15人目となる通算400本塁打を放った。地方球場で土砂降りの雨、大差の負け試合…。40歳のベテランならまず交代しているような場面。そこで打つのがフルイニング出場を誇りにするこの男だ。完敗の中、ファンに夢を与える節目の1発だった。
雨がしたたる金本の顔に笑みはなかった。打球が右翼席に飛び込むのを見届けると、下を向きながらゆっくり、淡々とダイヤモンドを回った。記念の花束を受け取り、ナインに総出で出迎えられ、ようやく少しはにかんだ。
金本
狙ってないよ。でも富山のファンが期待しとったから。
9回、1死一塁から横山の初球139キロの真ん中高めに入った直球をフルスイングでとらえた。大敗の中で出た意地の1発。常に全力プレーで勝利を目指す鉄人らしく、最後の打席でも手は抜かなかった。
25歳での初本塁打から16年。40代での偉業達成は史上初。遅咲きながら、体づくりに真剣に取り組んできたからこそ成し遂げることができた。常に「最高のヒットが本塁打」だと口にしてきた。「誰もいないスタンドなら野手にとられることはないから」。今年にかける思いは例年以上に強かった。
連続フルイニング試合出場や打撃成績を不安視する一部の声を耳にし、見返したいという思いを胸に刻んでいた。今年2月、開幕を控えた金本は不安や焦りと戦っていた。昨年10月に左ひざを手術。米ロサンゼルスで単身キャンプを張り、高知・安芸の2次キャンプからチームに合流した。だが左ひざを意識してしまい納得のいくスイングが取り戻せなかった。そんな苦難を乗り越えてのひと振りだった。
400号の記念のボールは試合後、主催者を通じ金本のもとに届けられた。名乗り出たのは古巣広島のファン。敵ながら鉄人のすごさを知るファンが見せた金本への称賛だった。待ち受けていた地元ファンからは「金さん、ありがとう」と声援が飛んだ。400号はまだ通過点。個人記録よりも欲しいものがある。優勝を手にした時には、きっとこの日の喜びも一緒に爆発しているはずだ。



