<横浜2-3巨人>◇15日◇横浜
頼れるキャプテンが帰ってきた。巨人の阿部慎之助捕手(29)が横浜戦の8回、決勝の右前適時打を放ち、今季2度目の同一カード3連敗のピンチを救った。打撃不振で、前日の14日はスタメン落ちをしたが、持ち味の勝負強さを発揮した。13日には逃げ切りに失敗した守護神マーク・クルーン投手(35)が、この日は苦しみながらも9回を無失点に抑えて古巣に雪辱した。
シンノスケには、やっぱり笑顔がよく似合う。8回表2死一、三塁から、決勝の左前タイムリー。体を張ってクルーンの荒れ球を止め、勝利のハイタッチを終えると、今年初めてのヒーローインタビューが待っていた。「最高で~す」の決めぜりふ。汗びっしょりのいい顔で言った。
ラミレスの同点適時打で気合が乗った。「オレも、という気持ちで」横浜横山の外角直球を強く、逆らわずはじいた。「左方向の意識はなかった。思いきっていきました」と、打撃センスの鬼は気合を強調した。
決勝点を見届け、一塁上で控えめに握った右拳には、正捕手としての意地が詰まっていた。前日スタメン落ちの悔しさを晴らす-。「心の奥底に(悔しさを)置いて」、試合開始直後からプレーで意気込みを示してみせた。1回裏無死一塁で、仁志が目の前に転がした送りバントの打球。素手でつかみ、強引に二塁へ送球し間一髪で殺した。
サヨナラ負けした13日の試合。延長10回裏に全く同じ場面があった。打者走者に重なる形で一瞬動きが遅れ、送りバントを決められサヨナラの場面をつくった。不調もあったが、原監督に厳しく叱責(しっせき)されスタメン落ちした背景があった。原監督は「勝負強さが見えてきた。このままじゃない。大丈夫ですよ」と主将への変わらぬ信頼を強調した。
開幕から調子が上がらず、短く刈り込んだ髪をさすりながら「最近白髪が増えちゃって…。抜いたらいけないんだよねぇ」と、しょぼんとしたこともあった。最下位横浜に3連敗を喫する目前での千金打で、景気がつかないわけがない。「やっと貢献できた。チームが上昇するきっかけになるゲーム。このまま負けたら、ズルズルといっていたと思う。1試合で貯金を返すことはできないから、広島に3連勝します」。巨人の太陽に、明るさが戻った。生え抜きが戦線離脱している今、シンノスケがさらに輝きを増すことが浮上には不可欠だ。【宮下敬至】



