<広島2-5阪神>◇15日◇福井

 桧山はえら~いオジサンだ。前日は5番スタメンで同点タイムリーを放ち、この日も7回無死満塁の場面で代打で登場し、見事に同点二塁打で期待にこたえた。1学年上には衰えを見せない金本、矢野、下柳の40歳トリオ。ちょっと押され気味だが、ひーやんだって負けていない。チームはこれで最多タイの貯金「14」。2位中日が敗れたため、ゲーム差も最大タイの3・5。なにより、まだ1勝もしていない「魔の木曜日」に初笑い。めでたしめでたし。

 百戦錬磨の経験に裏打ちされた一撃だった。プロ17年目の意地がある。2点を追う7回無死満塁。代打に起用された桧山が、ひと振りに熱意を込めた。代わったばかりの2番手梅津との対決。カウント1-3から低めの球を振り抜くと、ライナーで右翼線へと伸びた。2者が生還。土壇場で同点適時二塁打を放った。

 桧山

 打ったのは真っすぐかな?

 シュートかな?

 満塁だったし、とにかく走者をかえそうと思って打席に入りました。みんなで作ってくれたいい流れに乗って、打てましたね。

 前日14日は今季初めてスタメン出場。5番打者として同点タイムリーをマークしていた。この日はベンチからスタートしたが、連夜の同点劇の主役を堂々と張ってみせた。福井はベテランにとって、相性のいい土地だ。04年6月8日広島戦で5番右翼でスタメン出場し、5打数4安打と大暴れした。当時はレギュラー。いまは「代打の切り札」として、ベストを尽くす。今季は19打数8安打。打率4割2分1厘と、開幕からの好調をキープしている。

 桧山

 今は打席のなかで、うまく集中できているね。いい時があれば、悪い時もある。1日1日、いかに切り替えられるかだよ。

 地方球場での一戦。いつもと違う環境でも、キッチリ準備を整えた。試合中の三塁側ベンチ裏。代打陣が出番を待ち、素振りを行うスイングルームは設置されていない。この日は何と「食堂」でバットを振り込んだ。テーブル上にはおにぎり、ソーセージ、唐揚げなどが置かれている。ホテルマンも見ている傍らで調整した。フォームを映す大鏡もなく、あるのは姿見の細長いミラーだけ。決して満足とはいえない状況でも動じない。揺るぎなき技術が、勝負どころで生きた。

 「魔の木曜日」の呪ばくからも解き放たれた。今季は開幕から木曜日は3敗1分け。1度も勝っていなかったが、ようやく白星をマークした。桧山の殊勲打には、岡田監督も「投手も代わったし、ノーアウト満塁の代打やろ。一番おいしいところ」と信頼を寄せる。

 広島に連勝して、貯金を今季最多タイの「14」に戻した。2位中日とは4月18日以来、約1カ月ぶりに今季最大タイの3・5ゲーム差に拡大した。元気なベテランの存在もまた、猛虎の底力になっている。【酒井俊作】