日本ハム梨田昌孝監督(54)が交流戦初采配を白星で飾った。8回に2番手建山が打ち込まれ、2点差に追い上げられると、すぐさまに臨時守護神の武田久を投入し、逃げ切った。攻撃面でも、故障が完治していない稲葉篤紀外野手(35)をDHで起用するなどして、勝利に導いた。昨季16勝5敗1分けと圧倒的成績で交流戦を制したが、梨田ハムの交流戦での強さも変わらない。

 ダンディズムは、記念の白星を刻んでも変わらない。梨田監督が交流戦初采配で、初勝利。拙攻の連続でイライラが募る展開での接戦勝利。選手を責めることなく、穏やかな口調で笑い飛ばした。送りバントを2度失敗した高口への質問が及んだ時だった。「ヘタなもんはしょうがない。使っている監督が悪いんや」。交流戦の開幕を突破した、その表情には充実感しか残っていなかった。

 立てなかった舞台で、ようやくタクトを振るった。04年終了後、近鉄の球団合併による消滅を機に、ユニホームを脱いだ。そのまま監督を務めていれば、翌05年から交流戦がスタート。運命のいたずらもあり、縁がなかった。試合前には、日本ハムの選手への願いを話していた。「全国的に露出度が高いから、名前も顔も売って欲しいね」。なかなか日の当たらないパ・リーグ一筋。当時、近鉄の選手がプレーできず、重ね合わせるように話した。

 故障が完治していない稲葉をDH起用。守護神マイケルを欠く、苦心の状況が続くが、リーグ2位をキープし、貯金を4へと伸ばした。リーグ連覇、そして昨季の交流戦王者―。若手中心だが、完成されているように見られるチームを率いる難しさはあるが、積極的な新戦力登用で活路を切り開いてきた。「昔から欲しがる性格じゃなかったからね」。グチ一つ言わず、淡々と指揮を執っている。

 敗れた試合後の遠征先のホテルの食堂では、やけ酒のように1人、ハイペースで芋焼酎のロックをあおっていることもあるという。「全員の力でね。全員がいろいろといいところを出してくれた」。いつもの勝利と同じく、こんな特別な夜も、選手を立てるだけだった。【高山通史】