<日本ハム1-0中日>◇23日◇札幌ドーム

 日本ハム多田野がプロ3戦3勝を狙ったマウンドで、思わぬ“一撃”に泣いた。立ち上がりから打者7人を3三振を含み完全に抑えていた3回1死。中日平田への2球目、118キロがすっぽ抜け、頭部直撃の死球。落合監督の抗議後に審判団が協議して、危険球退場。野球人生で初体験だった。

 わずか26球での降板に「何もしていない。腕を振らない真っすぐを投げたら…」と頭をかいた。梨田監督は、抗議があってからのジャッジでの退場に「モヤモヤとした気持ち。抜いた直球を全然よけていないからね」と首をかしげた。

 だが、緊急事態に投手陣が踏ん張った。急きょ登板の坂元はブルペン投球は「2、3球」というが、最初の打者小田をバント小フライの併殺に1球で仕留め、流れに乗った。6回2死二塁のピンチでは、井端の中前に抜けようかというゴロを右足で“キック”。はね上がった球をキャッチして一塁でアウトにした。「基本的にサッカーは苦手。ゴールキーパーしかやってないけどうまくいきました」。移籍後最長の3回2/3を無失点。25歳最後の日に2勝目を手にした。抑え武田久は「正直、きついっす」といいながらも4試合連続セーブ。

 日本シリーズの再戦第1Rは多田野が緊急降板でも不思議と負けはつかず、計5投手で昨年日本一の中日に雪辱した。梨田監督も「本当によう頑張った」とねぎらった。