<イースタン・リーグ:日本ハム7-1ヤクルト>◇4日◇鎌ケ谷

 打っても打っても1軍昇格にはダメ出し-。日本ハムのルーキー中田翔内野手(19)が4日、イースタン・リーグのヤクルト戦で2本塁打を放った。第1打席では同期のライバル由規投手(18)から公式戦初対決でソロ弾。これで5月30日同ロッテ戦から3戦連続で5発と猛アピールを続けるが、梨田監督は「打つだけじゃない。守りも走ることもある」と近日中の1軍昇格の可能性を否定。故障者続出のチーム事情にも、自慢のバットでは1軍の道は切り開けない状況だ。

 波に乗る中田のバットは同期のライバル右腕を粉砕した。イースタン・リーグ4勝と結果を残す由規との公式戦初顔合わせ。1回2死から、すべて直球勝負の同期生の4球目、146キロをバックスクリーン右に豪快に運んだ。

 中田

 いいポイントでとらえることができた。積極的に思いっ切り振れているのがいいと思う。すべて直球?

 すごく男らしいヤツだと思いました。

 初対決の3月6日オープン戦では、ストレートにバットはかすりもせず三振を喫した。1本足からすり足打法へ変え、この3カ月で怪物は確実に成長していた。5回の3打席目には2年目の高市から左翼席後方の防球ネットに突き刺さる特大2ランを放った。

 中田

 (1打席目に)ストレートを打たれているから、スライダーで逃げてくると思った。

 配球を読んで変化球を狙い打った。3戦連続で5発の大当たり。2度目の1試合2本塁打で通算9本塁打は現在イースタン・リーグの本塁打王だ。水上2軍監督は「今やっていることができている」と打撃フォームは固まってきた。手が滑らないようにグリップにテーピングするなど、スイング以外の部分でも工夫する。「今は迷いもないです。フォームができつつあります」と自ら成長を感じている。

 しかし、それでも1軍昇格への信号は赤くともったままだ。この日、報告を聞いた梨田監督は「今のハムの野球は、足を絡めて守り勝つというもの。いいものを持っているというのは当然分かっているけど、打つ方だけじゃなく、まだ走塁も守備もある」と総合的なレベルアップを求めた。山田GMも「心技体がそろわないと。技は固まってきたようだが」と、野球に取り組む姿勢や生活面を課題に挙げた。

 練習後のボール拾いや打撃ケージの後片付け、あいさつなど、周囲に言われる前にするようになったものの、まだ物足りないというのが首脳陣の見解だ。森本、高橋ら主力に故障者が続出するが、近日中の1軍昇格はない状況。打撃が売りの選手だが、いくら打ってもダメ出しが続いている。

 ただ中田は素直に受け止めている。「まだまだだと思う。(首脳陣の反応は冷たいが)逆に、そっちの方がやる気になる。ガムシャラにやって、1日でも早く上がりたいという気持ちを持っていることが大事。今の自分には守備も走塁も欠けています」。首脳陣の厳しい評価も大きな期待の裏返しだろうが…。15日には梨田監督が2軍を視察する予定だが、1軍にGOサインが出るのか。