<阪神4-1中日>◇3日◇甲子園

 強すぎる。阪神が22年ぶりに甲子園で中日から同一カード3連勝し、ゲーム差は今季最大の9・5となった。86年6月以来の記録の主役は39歳のベテラン矢野輝弘だ。同点の8回1死二、三塁で、中日チェンの初球、内角ストレートをバットを折りながら左前打。2者が生還して勝ち越した。

 バックネット裏で観戦していた大阪・道頓堀の名物看板人形「くいだおれ太郎」も大喜び。だが矢野は「もっと喜べよ、と周りから言われるけど、実は打っても沸いてこない。守りの人間だから。抑えたら、沸いてくる。喜んだほうが絵的にはいいんだろうけど…」とあくまでクールだった。

 初戦は金本、新井の主軸が打ち、前夜は代打葛城のサヨナラ打。そして「守備の人」が殊勲打を放った。プロの世界はプライドの塊が集まる世界だが、今の阪神はチームのために、自分の役割に徹することができる選手ばかり。だから強い。矢野も間違いなく、その1人だ。今季は野口との併用でこの日のように途中出場する機会が増えた。主戦捕手のプライドよりも、野球人の心があるから、その一瞬に集中できる。

 「3連勝になったが、いつもこういうゲーム。1つのミスが大きい。こっちは普通にやって、向こうがそういう形になった」と岡田監督は表情を崩さない。だが、投手も含め、鉄壁が自慢だった中日に見事に守り勝った。後で振り返れば、この3連勝が優勝への決定的な一幕になるかもしれない。最短で10日にもVマジック54が点灯する。開幕間近の北京五輪に注目が集まるが、虎の大逃げにも目が離せない。【田口真一郎】