<ロッテ6-7ソフトバンク>◇6日◇千葉マリン

 ソフトバンクが連敗を7で止めた。3-5の8回に4番松中信彦内野手(34)がみせた気迫の一塁ヘッドスライディングが着火剤だった。2死から柴原洋外野手(34)が代打同点2ラン本塁打。ベテランに負けじと9回には本多雄一内野手(23)と川崎宗則内野手(27)の俊足コンビが連続安打で出塁し、野選と失策で2点を勝ち越した。最終回を3投手の継投で1点差で逃げ切る総力戦だった。8日からは首位西武との2連戦が始まる。

 一塁に立ち上った土ぼこりが合図だった。2点を追う8回。三塁ゴロの松中が頭から滑り込んだ。「僕が塁に出ればチャンスがあるかなと。あれしかなかった」。4番のユニホームは胸から足首まで赤土にまみれた。アウトだったが、王監督は手をたたいて迎えた。「気持ちが体に表れていた。そういうプレーがチームメートを奮い立たせるんだ」。指揮官がサインに添える「気力」の2文字を体現したプレーが、敗色ムードを変えさせた。

 2死から5日の守備で2度ミスを犯した長谷川が意地の中前打。ロッテが右投手の久保に交代すると、王監督は代打柴原を送り込んだ。松中と同じ96年ドラフトで入団したプロ12年生は落ちる変化球を拾い上げ、右翼席に放り込んだ。今季チーム3本目の代打同点2ランで応え、試合を振り出しに戻した。

 9回には本多と川崎の1、2番コンビが出塁。二、三塁から大村の遊ゴロで本多が本塁を狙った。里崎のブロックに左肩と右ひざを強打したが、本塁は陥れた。里崎のグラブからボールがこぼれた間に川崎も生還。「先輩(松中)のプレーに勇気づけられた。感謝です。あの姿にみんな感じたんじゃないですか」。2点を勝ち越し、川崎は右こぶしを握りしめてほえた。

 チームリーダーの小久保が左手首を痛め、2試合連続でベンチからナインを鼓舞。松中は「去年、僕がだめな時は小久保さんが助けてくれた。2人でチームをつくってきた」と言った。ダイエー黄金期の中核を担った2人はチーム再興を願っている。「若い人が何かを感じてくれたら」。自覚を強めた松中は若手にさらなる発奮を求めた。

 7連敗中は常に投打がかみ合わず、4度も逆転負けした。この日はチーム関係者が「願いを込めた」とベンチの出入り口に盛り塩をつくった。王監督も連敗中にスパイクを履き替え、この日は2軍からレストビッチを呼び寄せるなど、変化を与えようと必死だった。

 ようやく連敗はストップ。だが9回に中継ぎ陣が1点差に迫られるなど課題は残った。「連敗中だからスンナリいかんよ。今日は総力戦だった。最後もよく守り切ったな。今日勝つのと負けるのでは大違いだよ」。王監督は勝ち試合では珍しくミーティングを開催。「気を抜かずに」とくぎを刺したのも、真の強さを取り戻せていない現実を見据えているからこそだ。

 8日からは6ゲーム差をつけられた首位西武と2連戦。「これだけ差が離れていると相手がどことか関係ないよ」と指揮官はシビアだった。7日は七夕。V奪回の願いを短冊に込めるファンに応えるには、この1勝で喜んではいられない。【押谷謙爾】