<横浜7-8阪神>◇6日◇横浜

 あきらめなかった。執念の粘りが、ドラマを生み出した。「金本さんにつなぐ」。打ち取られればゲームセットの打席に立った新井は、この言葉だけを頭に詰め込んだ。

 新井

 セキが粘ってつないでくれたんで、何とか食らいついて金本さんにつなごうと思っていた。あの時は相手どうこうではなく、とにかく気持ちでいこうと思っていた。

 9回2死一塁のがけっぷちから関本の適時二塁打で2点差に迫った。新井は流れを感じていた。ここでつなげば、何とかしてくれるアニキだと分かっていた。カウント2-2と追い込まれた5球目。必死に食らいついて右に運んだ。関本をホームに迎え入れて1点差。完ぺきなおぜん立てを整えた。そして思いがつながった金本の逆転弾。「あれは入ると思った。勝ててうれしいです」。合わせて121打点の「AK砲」が、またも抜群のコンビネーションを発揮した。

 その前につないだ関本はミスの挽回に必死だった。6回裏の守りは無死一塁。横浜内川の打球は絶好の併殺コースの遊ゴロだったが、関本の一塁への送球がワンバウンドで走者を残した。結局この回、同点に追いつかれる走者となった。

 関本

 後ろにつなぐことだけを考えていた。あれで守りのミスを帳消しにしたとは思っていない。

 カウント2-0から3球ファウルなど、フルカウントまで必死に粘った。そして9球目を左中間へ運ぶ。関本の気迫が上回った。

 最後は主砲が鮮やかに決めたが、その前に阪神の代名詞である「つなぎ」があった。そして早くも到達した50勝。「また次、51を目指して頑張ります」と新井は表情を引き締めた。【福岡吉央】