<ロッテ7-5日本ハム>◇9日◇千葉マリン

 きれいなブロンドの髪に覆われた頭の中には、苦悩が渦巻いていた。グリンが、また黒星を重ねた。試合後、私服に着替えて無言のまま帰路に就いた。取材対応できないほどで、敗戦の弁を球団広報に託した。「今日は申し訳ない。それ以上の言葉は出てこない」。今季16試合目のマウンドで、早くも黒星は「12」に到達。自身5連敗、チームも約2カ月ぶりの3連敗と2つの泥沼から抜け出せなかった。

 要所で、またつまずいた。4回。2死から大松、サブローに連続四球。ベニーに右中間へ運ばれ、2点の先制を許した。初回にはプロ初スタメンの今成とのコンビで盗塁阻止。2回には得点圏に走者を背負うが、耐えた。3回もけん制で刺し、ピンチの芽を摘んだ。打線も粘投に応え、6回に2死無走者から一挙3点でひっくり返した。悪夢は、その裏だった。

 好調な大松の同点弾を皮切りに1四球を挟み3連打で降板。「あの1イニングは何とかしてほしかった」。助っ人の意地に期待した梨田監督だったが、継投も乱れて逆に5点を献上した。03年に12敗した正田以来、本拠地を北海道に移転後は初、5年ぶりとなる12敗目を刻んでしまった。森本のタイムリー失策も絡んだが、またも白星は逃げていった。貯金も5月26日巨人戦以来の「5」へと減らしてしまう、痛恨の乱調だった。

 エースのダルビッシュが北京五輪でチームを離れることが濃厚な8月には先発陣の柱の一角を担うだけに“期待料”を込めて、この日も2軍での再調整は見送った。復調の兆しが見えただけに、梨田監督は「合格点だった」と話したが、昨季のフル稼働ぶりを知る厚沢投手コーチは厳しかった。「良い時を知っているだけに、まだまだやれる」。リーグ3連覇への試練の夏を目前にしても、グリンの梅雨明けは遠い。【高山通史】