<阪神0-1広島>◇12日◇甲子園

 コイのコズローに吹き消されたあ~。阪神が広島に0-1と完封負けし、勝てば点灯していた優勝マジックはお預けとなった。来日初先発の広島コズロースキーの前に打線が沈黙。今季4度目の完封負けを喫した。楽しみが先延ばしになっただけだが、3番新井貴浩内野手(31)が腰痛のため2日連続で試合前のフリー打撃を回避し、試合でも4打数無安打とちょっぴり心配。しかし13日に広島に勝ち、巨人が負け、中日が引き分け以下なら優勝M52が点灯だ!

 悔しそうに顔をしかめて夜空を仰いだ。0-1の6回2死一、二塁。新井は広島梅津から一、二塁間へ鋭い当たりのゴロを転がした。「抜けると思ったんだけどね…」。打球は一塁栗原に好捕され、新井の全力疾走もわずかに及ばずアウト。数少ないチャンスを生かせず、自然と無念さが表情にこみ上げた。

 リーグ戦再開後、10試合連続2ケタ安打のプロ野球3位タイの記録を生み出した打線が、広島戦では失速だ。11日は9安打2得点。この日はわずか3安打で今季4度目の完封、そして初の0-1負けを喫した。その中に新井がいる。「印象?

 特にない」という先発左腕のコズロースキーを打ちあぐねた。そして最終回、新井は最後の打者となった。チャンスに強い、期待に応えてくれる「ケタ違い打線」の象徴が、小休止状態を迎えた。

 頑張り続けている疲労が新井を遅う。交流戦中から出始めた腰痛を気遣い、この日も2日連続で試合前練習のフリー打撃やゴロ捕球を回避した。キャッチボールや軽めの走塁練習を終えると「試合に備えてね」と言葉を残し、1人早々とクラブハウスに引きあげていた。そんな新井を広沢打撃コーチが気遣う。

 「技術じゃなく、フィジカル面では心配はしている。でも万全でやれている選手は少ない。長年レギュラーでやってきているし、克服してくれると信じている」。

 異変は岡田監督も感じ取っている。「状態はよくないよな。まあ何とか明日1日頑張って、そうすれば休みもある。まあ振れてないのは確かだな。チャンスの当たりがうまく捕られたものあるけどな」。それでも頼れる3番は不動の存在。新井に対する信頼度は変わらない。

 この試合に勝っていれば、点灯していた優勝マジックは、13日以降にお預けとなった。独走状態になんら変わりはない。優勝へばく進していても、打線が湿る試合などいくらでもある。新井が今季、何度も口にしている言葉がある。「試合が始まれば、勝つことだけを考えてます」。決して弱音は吐かない。新井はきょうも全力で試合だけに集中する。【福岡吉央】