<阪神7-1中日>◇25日◇甲子園

 バント男が満塁本塁打で試合を決めた。阪神の関本賢太郎内野手(29)が2点リードの中日戦5回2死満塁で、左翼ポール際に初の満塁アーチを放った。1回には中前打で2点目をたたき出した。4番金本が16打席無安打と苦しむが、地味なつなぎ役の男が4打数3安打5打点と爆発してフォローした。先発安藤優也投手(30)も06年9月以来の完投勝利と投打の歯車がかみ合って中日に7-1と快勝し、優勝マジックを44とした。

 5回裏の「どよめき」は、今年の阪神の試合の中でも一番大きかった。主役は関本だ。2死満塁、2球で追い込まれてから粘りに粘った。フルカウントからの9球目。内角高めの146キロの直球だった。「どうやって打ったのか覚えていない」。内角球にも体は開かず、無心でバットを振った。舞い上がった打球は浜風に乗り、左翼ポール際に落ちた。生涯初のグランドスラムで中日のエース川上をノックアウト。試合の行方を決めた。チームは今季、甲子園では負けなしの6連勝で、76年以来、32年ぶりの連勝記録になった。

 殊勲の関本だが、開幕は平野に二塁のポジションを譲ってベンチスタート。今岡の打撃不振により、与えられた役割は8番三塁。平野が負傷すると、次は2番に。そして新井が腰痛で欠場し、クリーンアップに。便利屋のように使われてきたが、こだわらなかった。

 2番打者は逆方向への進塁打が求められるケースが多いが「その考えは古い。投手が右に打たせないように、内に投げてきたら、左に打てばいい。ヒットを打つのが、一番いいんだから」。引っ張ってヒットも打っても、つなぎの役割を果たしたことになる。そのために、いかに内角球を打つか。努力の結果が表れた。初回に1点を先制し、なおも2死三塁からのタイムリーも内角球を絶妙のさばきで中前に運んだ。8回も内角を左翼線を破る二塁打。特に5回裏の場面は金本が歩かされた後だけに価値がある。新井が腰痛、金本が不振という苦しい状況で5番定着は大きい。

 今季6度目でお立ち台では「自分の出したゴミは自分で持って帰るようにお願いします!」とファンに訴えた。ある日のデーゲームの試合前。客席で清掃活動に励む人々の姿が目に入ったという。「少しでも助けられたらと思った。電気代も浮いたら、温暖化対策にもなる。ホンマ、ホンマの話ですよ」。CO2削減に協力しつつ、マジックは「44」に減った。【田口真一郎】