<阪神4-6中日>◇27日◇甲子園

 うっぷんを一気にはき出した。竜打線が1点を追う6回に爆発。1イニング今季最多となる6点を取り逆転に成功した。この回に仕留めなければ久保田、ウィリアムス、藤川のJFK必勝リレーにつながれるところ。チーム打率はセ・リーグワーストの2割5分2厘に低迷し、25日からの阪神戦2試合でも計1点しか取れていなかったが、追い詰められて意地を見せた。

 無死一、三塁で中日和田一浩外野手(36)が口火を切った。左中間を破る逆転の2点三塁打。スタメン落ちのウッズに代わり4番に入って2試合目。前日2度の得点機に凡退しており「チャンスだったので何が何でもという気持ち。当てられるところだったらどこでも振っていくつもりだった」と話した。5番中村紀も高いバウンドの打球が三塁手の頭上を越える適時二塁打で続き「ラッキーです」。さらに2死満塁から1番井端が自らの4回の失策を帳消しにする3点三塁打。「絶対取り返そうと思っていた」と振り返った。

 試合前、ふがいない試合を続けるチームにカツが入った。中村紀が炎天下で特守。三塁の守備位置に入り、左右に大きく振られる打球だけでなく、外野への大飛球も全力で追った。高代野手総合チーフコーチがノッカーを努めていたが、途中から落合監督に交代して計10分あまり。あまりのハードさに中村紀は打撃練習を回避した。さらにウッズ、森野も特守を受けた。指揮官のメッセージを当事者は体に刻み、見ていたナインも心で感じた。

 やられ続けた阪神に一矢報いた。けっして本来の姿ではないが、竜はまだ死んでいない。【村野

 森】