<広島6-4巨人>◇28日◇広島

 39歳、待望の復活星だ。広島高橋建投手(39)が28日の巨人戦(広島)で、5月23日オリックス戦以来2カ月ぶりの白星を挙げた。6回までは三塁を踏ませない投球。7回に2安打を浴び失策も絡んで2点を失ったが、7回5安打2失点で7勝目を挙げた。オールスターに初めてファン投票で選出されたベテラン左腕はお立ち台で「長かった」と喜びをかみしめた。

 最速146キロを計測した速球とシンカーで巨人打線を手玉にとった。内外角に直球を投げ分け、変化球を巧みに使う。「コントロールを意識した」。外野フライのヤマが、バットの芯(しん)にあてさせていないことを証明していた。

 6回までは3安打無失点。ピンチでもあわてない。4回2死一、二塁では阿部を中飛。7回、初めて連打を浴び、失策もあり2点を失った。なおも2死二塁。鈴木尚をシンカーで遊ゴロに。小笠原、ラミレスに対しては6打数無安打。打線の援護もあり、66日ぶりの白星は今季巨人戦3勝目。高橋は06年8月12日から巨人戦6連勝だ。「本当にうれしい」。自然と笑みがこぼれた。

 6月14日の西武戦で首の痛みを訴え、まさかの10球降板。登録を抹消された。交流戦後半にチームを離れる責任を感じ落ち込んだ。懸命に治療を続け、復帰登板は6月29日の巨人戦。6回1失点も勝ち負けはつかず、好投しても勝てない日々が続く。20日のヤクルト戦では今季チーム最多の139球の熱投も実らなかった。「こういうこともある。我慢して乗り越えられたら、きっといいことがある」。その思いが形になった。

 7日、オールスターの発表があった。高橋はファン投票1位で選出。自身5年ぶり4度目の球宴だったが、ファン投票での選出は初めてだった。「ファンの方に素晴らしいプレゼントをいただいた。せっかく1位で選んでもらって、球宴までに勝ちたかった。防御率も気にしていました」。この日の快投で防御率は2・93に。「自責は?

 1点?

 防御率は?

 計算の仕方が分からないんですよ(笑)」。2点台になったことを知った高橋の顔は、本当にうれしそうだった。【網孝広】