<西武4-2オリックス>◇29日◇西武ドーム

 五輪前の最終戦で、西武G・G・佐藤が不安を一掃した。1点差に迫った6回1死一、二塁、オリックス本柳から右中間スタンドに逆転3ランを運んだ。待望のアーチは、12試合ぶり。17日に北京五輪代表に選出されてからは当たりが止まっていたが、ここぞの場面での1発。北京でも期待される役割を果たし、チームに最高の置き土産を残した。

 久々のお立ち台。声がかすかに震えた。「手応えは微妙だったので、入ってくれと願いました。五輪では、ファンの皆さんが一生忘れられないようなプレーをしてきたいので、G・G・佐藤にパワーを送ってください。北京でも『キモティー!』」。声を裏返してお約束の決めゼリフを届けることができた。思い残すことはなかった。

 ここ2試合無安打。フォームのバランスを崩していた。パワフルな打撃が認められると、執拗(しつよう)な内角攻めを受け、死球も増えた。心の中では「いつも打てなくなる不安と闘っている」。それでも今年は、悪い時に修正できる引き出しが増えた。試合前、軸足に重心を乗せる練習を繰り返し、体が開く癖を意識。「いい打球が昨日から飛んでいたし、出ると思った」。迷いのないフルスイングを取り戻した。

 周囲を取り巻く環境は、ここ数カ月で激変した。オールスターに最多得票で選出され、日本代表入り。夢が次々と現実になる戸惑いはあったが、豪快な1発で胸のつかえもとれた。「体は北京にいきますが、魂は西武ドームに置いていきます」。どこかで聞いたようなセリフを、自信たっぷりに話す。これまでにいなかったタイプの日の丸戦士。誰にもマネできない個性を、晴れ舞台でも爆発させる。【柴田猛夫】