<オールスター:全パ5-4全セ>◇第1戦◇31日◇京セラドーム大阪

 阪神金本の手中から、MVPが逃げてしまった。2回に日本ハム・ダルビッシュから先制本塁打と、7回の適時打。全セが勝てば文句なしにMVPだった。だが、9回裏1死から後輩の阪神久保田がサヨナラ負けを喫し、同い年(今年40歳)の楽天山崎に栄誉を奪われた。だが、「ご愛嬌(あいきょう)、ご愛嬌」とあっさり。久保田に対しても「全然気にしないよ」と意に介していなかった。

 ダルビッシュとの勝負を楽しみにしていた。今年の交流戦では対戦機会がなかった。「相変わらず速かったねえ。初球を見て驚いたよ。(打った球は)抜け球だったんじゃないの」。抜けてなどいない。151キロの速球を右翼スタンドへはじき返していた。

 右への1発に意味があった。前半戦は打率3割1分、69打点と活躍するも、16本塁打には不満を持っていた。特に本拠地の甲子園で、右方向への本塁打がわずか1本。右翼から左翼に吹く独特の浜風にボールを押し戻されて、オーバーフェンスを阻まれていた。浜風に負けないために、常に打撃フォームをチェックして、素振りを重ねてきた。甲子園ではないものの、ダルビッシュから右翼への本塁打は、後半戦に向けても明るい材料となる。

 試合前のホームラン競争では、1本もフェンスを越せずに終わった。観客からのため息を何度も聞いた。だが、「過去にもゼロはあったし」と素早く切り替えて本番に臨んだ。わずか1時間半で、ため息は大きな歓声と称賛に変わっていた。MVPは逃しても、やはり、ひときわ光る存在だった。