<オリックス2-4ソフトバンク>3日◇京セラドーム大阪
北京五輪期間中はオレがエースだ!
2年目のソフトバンク大隣憲司投手(23)がオリックス打線を8回8安打2失点に抑え、チーム最速で10勝目を挙げた。7回の代打清原にはこの日最速144キロを投げ込むなど、すべて直球勝負で空振り三振を奪った。北京五輪日本代表の杉内と和田がチームを離れる中、先発ローテーションの柱に指名された左腕が快投を演じた。
節目のウイニングボールはお尻のポケットでボコッと誇らしげに膨らんでいた。大隣がついに今季10個目の白星を手にした。「正直、うれしいのひと言。序盤はコントロールが甘くて、打たれたけど、尻上がりにボールが走りだした。粘りの投球ができました」。深い緑色が渋さを醸し出す南海の復刻ユニホームに身を包み、かつての本拠地・大阪で納豆投法?
を演じた。
3回1死三塁から阿部、カブレラに連打を浴びて逆転を許した。しかし続くローズは二ゴロ、北川を高めの直球で三振に斬(き)ってとり、1点ビハインドで踏んばった。「中盤は3者凡退でできて良くなった」と5、6回を3人で料理し、最大の見せ場を迎えた。
清原との対決だ。7回に代打で登場すると、どよめきと歓声がやまない。間合いを取って静寂をつくった清原に対し、大隣は初球にこの日最速144キロの直球を投げ込んだ。「自分の中で自然な気持ちで対戦できた」と振り返る一方、「変化球を放れる雰囲気やなかった」と本音を漏らした。言葉どおり、5球すべて直球の真剣勝負で空振り三振に仕留めた。重圧に負けない強さをみせ、8回無死一、二塁のピンチも後続に仕事をさせなかった。
故障続きで2勝止まりの昨年から一転、今年は責任感を持ってマウンドに上がる。「今は1人で投げ抜くことを心掛けている。去年、ああいうふうに迷惑をかけた。中継ぎの人に負担をかけず、自分が任された試合は投げきる気持ちでいますから」。その責任感が白星を増やした。毎試合、野球リポートの提出を命じている杉本投手コーチは「内容は言えないけど、自覚が出てきている」と文面からも変化を感じている。
後半戦の“開幕投手”を任された意味は分かっていた。北京五輪に出場する日本代表のため、9勝の杉内と8勝の和田が抜けた。先発2人が抜けたのはソフトバンクだけ。「これから厳しい戦いが続く。五輪で抜ける間、ずっと勝ちがつくようにしたい」。2年目でチーム勝ち頭になった大隣に「期間限定エース」の自覚が芽生えてきた。
自身3連勝でチームの連敗を2で止めた。王監督は「(先発陣の)先頭に立ってやってくれたので、明日(4日)以降の投手もその気になってやってくれる」と賛辞を送り、「後半戦のスタートとして最高の試合だった」と大きくうなずいた。大学時代を過ごした大阪で、京都から招いた家族の前でも成長した投球をみせた。いつもなら家族にプレゼントするところだが、この日のボールだけは宝物にするという。チームにも大隣にも大きな勝利だった。【押谷謙爾】



