<オリックス3-4ソフトバンク>◇4日◇京セラドーム大阪

 今季限りの引退を決意し現役最終章に挑んでいるオリックス清原和博内野手(40)が、復帰2戦目のソフトバンク戦で06年9月2日のロッテ戦以来のヒットを放った。1点差の7回1死一塁の場面で代打で登場。大歓声の中、中前打を放ってチャンスを広げ、一時は逆転劇につなげた。左ひざの状態は万全ではないが、18日に41歳を迎えるベテランが死力を尽くす。

 左ひざ軟骨移植手術から再起した清原が、復活のヒットを放った。連日、大歓声の中、代打で登場。三瀬の137キロ真っすぐを中前へ運び、右手でガッツポーズした。06年9月2日以来702日ぶりの1軍での安打。外野から帰ってきた記念のボールをローズから手渡されるとヘルメットを取り、総立ちのスタンドにこたえた。

 復帰2戦目。この日、和田アキ子らから贈られた復帰祝いの50基の花輪はなかった。「お祝いは1日だけでいい」と撤去を願い出たのは清原だった。復帰戦の三振後、「今度は結果を出す」と誓った通り結果にこだわった。1点を追う展開。いつもよりバットを半握り短く持ったのが、その執念の証しだった。その回、相川の同点打と坂口のスクイズで逆転。終盤に再逆転を許したが、復活を祝う拍手は鳴りやまなかった。

 昨年6月、検査のため渡米したロサンゼルスの病院で医師から衝撃の言葉を受けた。「You

 are

 old

 man」。94年、ボクシングのジョージ・フォアマンが45歳で世界ヘビー級王座に挑む際、周囲にささやかれた言葉と同じだった。それほど左ひざは絶望的な状況だった。だが清原は「でも勝ったやないか」と、世界王者になったフォアマンと姿をタブらせた。

 「オレと一緒に奇跡を起こしてくれ!」。リハビリを共にした本屋敷コンディショニングコーチには常に言い続けてきた。今年2月、2軍高知キャンプにフォアマンのDVDを持ち込んで、復活を信じた。そしてこの夜、夢に見た1本を放った。5日は契約問題でもめ、急転ソフトバンク入りしたパウエルが先発。当時「1万円札バットに巻いといたる」と怒った男が相手で、モチベーションも上がる。次は復活の1発。現役最終章で清原が力を出し切る。【松井清員】