<オリックス3-4ソフトバンク>◇4日◇京セラドーム大阪

 ソフトバンク王監督が「五輪戦法」で後半戦連勝発進を決めた。同点で迎えた9回。1死三塁から長谷川の二ゴロ(記録は野選)に、辻が抜群のスタートで決勝の本塁を奪った。最後は守護神馬原で2夜連続で逃げ切った。「1度は引っ繰り返されたけど、昨日、今日といい試合ができている」と王監督も満足げに2連勝を振り返る。守護神が復帰した後半戦の戦い方が、この試合に凝縮された。

 甲子園の高校野球さながらに、王監督は1点にこだわった。初回だ。先頭の本多が中前安打で出塁すると、2番仲沢にはすかさず犠打を命じた。4番小久保が2死から中前適時安打を放ち、先制点を奪った。これが「2番川崎」ならばチャンス拡大を狙う強攻策だが、川崎不在の五輪期間中はメンバーも戦いも変わる。ただ、主導権を握れば、9回の馬原から逆算した戦いをできる強みが、後半戦にはある。

 王監督の姿勢は選手にも浸透した。1点を追う8回には4番小久保が2死二塁から適時二塁打を放ち、試合を振り出しに戻した。「集中力と気持ちを切らさずに打席に臨めた結果」と小久保。7回はオリックスに代打清原の復帰初安打が飛び出し、逆転を許していた。「あの場面で安打が打てるのはさすが。点につながったから余計に痛かった」と王監督も認める清原の一打だったが、それでも主砲はあきらめない。「相手に行きかけた流れを止めることができたと思う。今はチーム全体に粘りがある」と小久保は胸を張った。

 試合前から王監督は精力的に動いていた。正捕手に指名した高谷の打撃フォームを球団関係者に撮影させ、その場で再生して打撃指導。試合中には清原へ5球全直球勝負を挑み、内角にストライクを1球も投げ込めなかった三瀬を、ベンチ内で公開説教した。残り44試合。この戦力で戦うしかない。そのために、打てる手はすべて打つ。「今日は本当によく引っ繰り返した。辻の走塁も良かったし、馬原も今季最高の投球だった。どんどん乗って行きましょう」。王監督にとって「総力戦」の3文字が、後半戦を制する「五輪の書」となる。【中村泰三】