<阪神1-6広島>◇5日◇京セラドーム大阪

 広島の20歳の若き18番が阪神からVマジックを奪った。前田健太投手(20)は身上の直球とカーブのコンビネーションに加え、チェンジアップも勝負どころで有効に使って6回5安打1失点に抑え、3勝目を挙げた。6月27日巨人戦以来39日ぶりの白星だった。

 毎回のように走者を背負うが粘った。初回、いきなり先頭赤星に左前打を許した。2死一、三塁とされたが、5番関本をカーブで三ゴロに仕留めた。2回の2死一、二塁も赤星を遊ゴロに抑えた。3回には金本をチェンジアップで完ぺきにタイミングを外して二飛。6回、その金本に直球を右翼席に運ばれたが、鳥谷、金本、関本のクリーンアップに許した安打はその1本のみ。「今日は原点に戻れた。粘りの投球ができた」と胸を張った。

 7月は4試合に先発し0勝1敗。試合はつくるがチームが勝てない。だが、腐ることはなかった。球宴前後の期間を利用して、首脳陣からミニキャンプを課され、徹底的に走り込んで下半身をいじめ抜いた。「シーズン最初は5回3失点でも納得してた。でも今は5回2失点でもチームが負けたら納得いかない。成長したと思う。勝ててよかった」。チームは2連勝。試合のなかった4位ヤクルトとは0・5差、3位中日と3・5差となった。

 これまで挙げた2勝はいずれも広島市民球場。地元大阪の京セラドームに両親、PL学園時代の同級生など総勢30人が詰め掛け、声援を送られた。「(地元登板は)あまり気にしていない。でも投げる時は頑張らんと」。“凱旋(がいせん)登板”を白星で飾った。【網

 孝広】