<阪神1-6広島>◇5日◇京セラドーム大阪

 フルカウントから内角の難しいストレートを打ち抜いた。2点差の6回。金本がこの回の先頭で打席に立った。最後は右手1本になりながらも、周囲が手こずる広島前田健の142キロ速球を豪快にはじき返した。右翼フェンスをギリギリ越える17号ソロ。追撃へ4番の意地が集約された当たりだったが景気のいい言葉は出なかった。

 「あんまりいい打ち方じゃない。状態は良くないと思う」。完ぺきな当たりではなかった。浜風のある甲子園ならスタンドまで届かなかったかもしれない。前日4日の横浜戦では珍しくバット2本を折ってもいた。ストイックに自分の最高の打撃を追い求める。広沢打撃コーチも半ばあきれ気味に「完ぺきを求めるなら、そう(良くない)かもしれないがホームランはホームランだろ?」と話した。

 1点を追う初回、2死三塁。3日の横浜戦同様、またもスタートの第1打席で敬遠気味の四球で歩かされた。4番の孤立を狙う他球団。厳しさを知る男だからこそ、妥協はしない。7月18日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、13試合53打席ぶりの本塁打。それでもチームは敗れ、マジックも消えた。「ゲーム差はないつもりで戦う」。後半戦に向けて残した気迫の言葉通り、再び全力で勝利を呼ぶ一打に賭ける。【片山善弘】