<西武3-0日本ハム>◇11日◇西武ドーム

 西武が通算4000勝を達成した。中村剛也内野手(24)が2回にバックスクリーンへ先制2ランを放ち、投げては先発岸孝之投手(23)が8回を投げて日本ハム打線を無失点に抑え3-0で勝った。50年の西鉄から59年目での大台到達で、6チーム目になる。また50年にセ・パ2リーグ制になってからの4000勝は巨人に次ぎ2番目で、パ・リーグでは初となり、常勝軍団の証しといえる。3連勝で貯金を最多タイの15とし、早ければ13日にも優勝マジックが点灯する。

 西武伝統のスキのない攻撃が記念の試合でも光った。2回裏、中村の先制28号2ランの直後。中前打で出塁し犠打で二進した佐藤は次の塁を狙っていた。「本塁打を打たれた直後だから投手としては打者に集中したいところ。絶対にスキができる」。するするとスタートを切り三盗に成功。スクイズで悠々と3点目のホームを踏んだ。大技と小技で奪った3点を守っての完勝。選手は西鉄の復刻ユニホームを着て、球団創設以来の勝利数を4000に乗せた。

 五輪組が抜けてもチーム力の衰えを感じさせない。佐藤は「残された者の意地ですよ。帰ってきて何言われるか分からない」と言い切る。G・G・佐藤の代役ボカチカは、右翼からの好返球で1、3回と2度も本塁で走者を刺し完封リレーに貢献した。中島の代役黒瀬は重圧の中でスクイズを決め「これが僕の仕事なので、しっかり決めることができて良かったです」と胸をなで下ろした。

 野武士軍団の西鉄時代から、そうやって4000もの勝ち星を積み重ねてきた。近年でもオリックス清原や松井稼頭央ら、チームの大黒柱を失うたびに若手がチャンスをつかんで成長し、それがチームを強くした。黄金時代のエースとして124勝(ヤクルト時代も含めた通算は125勝)に貢献した渡辺監督は「4000勝はすごく歴史を感じます。このユニホームを着ての勝利にあらためて伝統を感じますね」と感慨に浸った。

 2位とのゲーム差を6に広げ、最短で13日にマジックが点灯する。渡辺監督は「まだピンと来ないね。すぐ消えるかもしれないし」と無欲を強調した。だが攻守ともに死角のない戦いを見れば頂点を期待しない方がおかしい。今季100試合目を鮮やかな勝利で飾った西武が、ゴールに向けて加速した。【大塚仁】