<巨人2-4阪神>◇13日◇東京ドーム

 居ても立ってもいられなくなった。ベンチから巨人原監督が飛び出し、クルーンの交代を告げる。同点で迎えた延長10回表、四球を連発した右腕に、守護神の面影はなかった。代わった藤田が3ランを浴び、負けてはいけない試合の黒星は決まってしまった。

 嫌な予感は的中した。これまでも登板間隔が開くと、クルーンの制球力はグッと精度を下げていた。案の定、10球を投げてストライクはたったの2球。クルーンの投入は危険と分かっていても、決して間違った投入ではなかったが「ストライクが入らないピッチャーとは勝負ができない」と原監督は交代理由を話すように、見切るのも当たり前の内容だった。

 カッとなりやすい性格のクルーンも、反省しきりだった。「ストライクが入らなかった。負けたのは自分のせい。反省しないと。年に何回かある悪い日が、今日になってしまった。降板もやむを得ない。自分の仕事ができなかったから、監督の判断も理解している」と淡々とコメントした。

 首位阪神とゲーム差も、再び8に戻り、マジック36も再点灯させてしまった。オールスター以降は、2連戦を3カード戦い、3勝3敗の五分。失速した阪神に助けられてゲーム差は縮まっているが、自力で勝利を積み重ねない限り、逆転優勝の望みはしぼんでしまう。【小島信行】