<ソフトバンク1-5日本ハム>◇16日◇福岡ヤフードーム

 前夜より約1時間早い試合時間も、ソフトバンク王監督には長く感じただろう。今季初登板の日本ハム八木に、レギュラーシーズンでは06年9月26日以来、690日ぶりの黒星を喫した。福岡ヤフードームで負けるのは、これが初。王監督は潔く八木の好投を認めた。「やっぱり八木は久しぶりの割には良かった。丁寧に放っていたよ。何とか先に点を取りたかったけどね。1点じゃしゃーない」。2年前の「天敵」に連勝を阻まれた。

 5回まで三塁さえ踏めなかった。6回に2死から3連打で1点を奪い、八木を降板させたが、これが唯一の得点だった。この日の試合時間は3時間5分。体調不良の休養から復帰した15日のロッテ戦は4時間1分のロングゲームだったが「そんなに長く感じなかったよ。勝ったからかな」。夏場で体調を崩した王監督には、白星が何よりのカンフル剤だった。

 一昨年はこの左腕にリーグ優勝を阻まれた。06年シーズンは3勝3敗ながら防御率1・93に抑えられ、プレーオフ第2ステージ第2戦では3安打完封負け。この試合で日本ハムの初優勝が決定した。昨年は4試合で3勝無敗、対戦打率3割4分7厘と攻略した。今季は2軍で4勝3敗、防御率5・66という成績の八木だが、王監督は試合前から警戒した。「どの程度、回復してるか分からないが、そう簡単に打てる投手じゃない」。決して過大評価ではなかった。

 これで日本ハムとの対戦成績は5勝12敗となり、今季の勝ち越しは消えた。「今日は打てなさすぎた。明日は大隣に頑張ってもらって、向こうも武田勝でチャンスはそうそうないが、それを生かしてね」と王監督。首位西武は勝利したため、ソフトバンクが17日に敗れ、西武が勝つか引き分ければ、自力優勝が消滅。西武に優勝マジックが点灯する。【中村泰三】