<阪神1-5横浜>◇17日◇京セラドーム大阪

 情けない。わずか3安打で1得点。阪神は最下位横浜に3連敗し、先発吉見には今季初星をプレゼント。投手陣は、その吉見に3安打される体たらく。岡田監督も「チグハグな攻撃さえでけへん」とぼやくしか打つ手がない。これで新井、矢野、球児の五輪組が離脱した8月は2勝8敗で、12球団最下位。まだ、2位巨人と7差あるが、大失速に歯止めがかからない。

 優勝に向けて高まっていた熱気は、北京五輪への関心とともに、消えてしまったのか。今季未勝利の吉見を相手に打ちあぐねて、1点奪うのが精いっぱい。貧打、投壊…。またもWショックに見舞われ、見せ場もなく敗れ去った。一塁側ミラールームでは、岡田監督のボヤキが響き渡った。

 「原因ははっきりしている。チグハグな攻撃もできん…。チグハグな攻撃があった方がいいよ。エンドランで正面突いた方がええよ。バントも1回しかない。忙しいほうがええけど、ベンチがなかなか忙しくならん…。忙しいのは文句を言ってる口ばっかりや」

 楽天野村監督ばりに、自嘲(じちょう)気味に苦笑いで振り返り、ロッカールームに消えた。無理はない。最下位横浜を相手に好機らしい好機もなかった。出塁は4安打と、初回の四球だけ。ベンチも手の打ちようがなかった。8回には15日の同カード以来、19イニングぶりに得点したが、時すでに遅し。横浜の今季初の同一カード3連勝をアシストしてしまっては、首位チームを率いる指揮官も地団駄を踏むしかなかった。

 8月に入ってから、10試合を消化し、これで2勝8敗。一般にチームの不振は投打の歯車がかみ合わないことからくるが、阪神の場合はどちらも機能していない。

 この日は、杉山を5月18日のヤクルト戦(甲子園)以来の先発マウンドに送った。勢いよく滑り出したが、3回につまずいた。1死二塁で打席に投手の吉見を迎える。しかし、内角低めスライダーを拾われ、右翼への先制適時打を浴びてしまった。杉山も厳しい表情を崩さない。

 「チャンスをもらったのに生かせなくて申し訳ないです。(速球の)感触は悪くなかったけど、打たれたら同じですから」。4回持たずに4失点KOされ、2敗目。あしき流れを変えることはできなかった。

 チームは今季最長の5連敗のあと、1勝して、再び3連敗…。主力の新井、矢野、藤川を北京五輪で欠くとはいえ、これがVの呪縛(じゅばく)なのか。2位巨人も敗れたためゲーム差は7のまま変わらないが、シーズンの正念場を迎えているのは間違いない。岡田監督も振り返る。

 「もう何試合や?

 8試合先取点がないんやから。ヒットが全然出ん。打てないのが現実だから、何とか辛抱してやらんとな」

 長いペナントレースは順風満帆には進まない。現状を打破するためには、ナインが一丸となって、必死に白球に食らいつくしかない。【酒井俊作】