<広島3-4阪神>◇20日◇広島

 っていうか、ホントですか?

 阪神が広島を振り切って連勝。これがなんと8月初めてって言うからびっくり。いかに北京五輪期間中に苦しんでるか、ですな。決めてくれたのは桧山だ。代打の神様と言われるだけのことはある勝ち越し打を決めた。若手からベテランまでつながるチームは7回の集中攻撃で逆転し、スッキリ連勝。朝夕、少しだけ涼しくなって阪神もエンジンかかってきましたで。

 2日連続の打者一巡の猛攻-。その中心にいたのはベテラン桧山だ。14得点を奪った前夜、出番のなかった「新・代打の神様」も、どん底から急発進した阪神特急に乗り遅れまいと必死だった。

 林、葛城、関本の3連打で同点に追いつき、野口が送って1死二、三塁で回ってきた7回のチャンス。沸き上がる左翼スタンドとは対照的に、桧山の心は冷静だった。フルカウントから外角高めの直球を逆らわずにレフト前へ運ぶ勝ち越し打。ここぞの場面で見事にベンチの期待に応えた。

 「あの回だけだったけど、みんながつないで、野口もバントを決めてくれた。とにかく強い打球を打とうと思っていた。還せてよかった。抜けてくれて、ホッとした」

 カウント1-2から、自信を持って見送った内角高めをストライクと判定されていた。「頭の中には四球も入れながら、甘い球がきたら打てるように考えていた。準備はしていたし、あれで動揺せんように、落ち着いていこうと思っていた」。ベテランの心は惑うことはなかった。

 毎試合、ベンチ裏でバットを振り込んで打席に向かう。1打席に賭ける強い思いは、グラウンドを離れても同じだ。食欲が落ちる夏場。「暑すぎて汗も出ないよ」とぼやきながらも、ごはん、肉、魚、大好きなフルーツと他の季節と同じメニューをしっかり摂る。体調を維持し、日々の試合に臨んでいる。「自然と体が欲するのもあるけど、夏だからといって食べるものを代えたりはしない」。体が資本の職業、プロ意識は食卓の前でも変わらない。

 そんなベテランの一打に赤星、平野も左前への連続タイムリーで続いた。野口の犠打をはさみ、6連打の猛攻だ。2日続けてつながりをみせた打線に、広沢打撃コーチも「ルイスには見事な投球をされたけど、底は脱したと思っている」とうなずいた。

 五輪期間中の8月初の連勝に、岡田監督も「まあ、あの回だけやったけどな」とニヤリ。「ルイスは80~100球くらいで代わるかと思っていたから、辛抱して球を投げさせるようにした」と、7回のワンチャンスをしっかりとものにした打線に目を細めた。

 2位巨人も勝ったため、優勝マジック再点灯とはならなかったが、15試合ぶりの連勝で、また一歩、優勝に向けて歩みを進めた。桧山は言った。「ちょっと苦しい展開だったけど、こういう時もある。何とか我慢して、最後には勝てることを信じて、みんなで頑張っていきたい」。大勝の翌日、しっかり連勝を決め、ようやく抜け出した長いトンネル。ベテランの顔にも笑顔が戻った。【福岡吉央】