北京五輪日本代表の4番として活躍した阪神新井貴浩内野手(31)が腰を疲労骨折していたことが26日、明らかになった。精密検査の結果「第5腰椎(ようつい)疲労骨折」と診断されたことを球団が発表した。阪神でも不動の3番打者で快進撃を導いてきたが、レギュラーシーズン中の復帰は絶望的となった。27日からは治療とリハビリに専念し、クライマックスシリーズ(CS)からの復帰を目指す。日本代表の星野仙一監督(61)は「私の責任。阪神と阪神ファンに申し訳ない」と謝罪のコメントを出した。

 衝撃の診察結果だった。日本の不動の4番として、戦ってきた北京五輪。新井は腰痛の不安を抱えながら、全9試合にフル出場した。期待されたメダルを逃し、失意の帰国の後に待っていたのは「骨折」の事実だった。

 24日に帰国した新井は25日に大阪市内の病院で精密検査を受けた。CTスキャンを撮り、医師から告げられた診察結果は「第5腰椎(ようつい)疲労骨折」だった。新井はこの日、球団広報を通じて「ケガでチームに迷惑を掛けますし、ファンの皆さまにも心配をお掛けして本当に申し訳ありません。今は治療に専念し、できるだけ早く復帰できるように努力します」とコメント。常川チーフトレーナーによると「歩くのは普通」の状態だが「1週間は患部の安静が必要。その後は様子を見て判断する」という。

 新井は6月の交流戦中に腰痛を発症した。痛みが増した7月中旬以降は、8月に控える北京五輪も見据え、シーズンを計9試合を欠場して症状の回復に努めた。北京五輪では全9試合に4番でフル出場し、1次リーグの韓国戦で先制2ランを放つなど活躍した。その裏で腰痛の症状は深刻さを増していったようだが、責任感の強さから星野監督はじめ、首脳陣に症状を訴えることはなかった。

 首位を独走する阪神だが、V奪回に向けてはこれから大きなヤマ場を迎える。3番打者として快進撃に貢献してきた新井の長期離脱は、とてつもなく大きい。岡田監督は「今シーズン中は無理かも分からんなあ。シーズン中は…」とペナントレース中の復帰は厳しいとの見方を示した。広沢打撃コーチも「指折り数えて待ってたんだけど。来月の末、20日すぎには戻って来てほしい。7、8試合出て、CSに出る。それが理想だよ」と話した。

 北京五輪に出場した代表メンバーでは、ソフトバンク川崎も前日に左足甲の疲労骨折が判明したばかり。北京五輪の激闘は、閉幕後も大きな影を落とす。

 阪神のシニアディレクターでもある星野監督は「申し訳ない気持ちでいっぱいです。よく頑張ってくれていただけに、そこまで悪かったとはみじんも見せなかった。そういう風にしてしまったのは私の責任。阪神と阪神ファンに申し訳ないと思っている」と謝罪のコメントを出した。