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ダル8回今季最多12K、ハム3位タイ浮上

<西武1-4日本ハム>◇9日◇西武ドーム

 エースがチームの危機を救った。日本ハムのダルビッシュ有投手(22)が今季自己最多タイの12三振を奪う圧巻の投球で、13勝目を挙げた。許した安打は2回の中村の本塁打を含む3安打。8回を1失点に抑え、今季7敗1分けと苦手にしていた西武ドームでの初勝利をもたらした。クライマックスシリーズ(CS)進出へ負けられない首位西武との第1ラウンドを制し、ロッテと並ぶ3位に浮上した。

 噴き出したアドレナリンを右腕へとたぎらせた。三振ショーでの会心勝利。ダルビッシュが、毎回の12個の「K」を並べ、逆転でのCS出場へ布石を打った。5位転落したチームをわずか1試合で3位へと押し上げた。1勝、1敗で順位が上下動するジェットコースターのような混戦。「ホンマに切羽詰まっているんで、何とか勝ちたいと思っていた」。強がりのない素直な言葉に、がけっぷちを救った達成感が表れていた。

 エースの称号にふさわしい夜だった。2回に外角速球を中村にバックスクリーンに運ばれたが動じない。5回に打線が集中打で逆転。8回をわずか3安打、104球、しかも無四球で投げ切った。速球とスライダーの直球系、今季の変化球の軸にしているカーブを交えた。縦横無尽の立体的な攻めの投球で、試合を支配した。「気を引き締めて向かっていく投球をしてくれた」。梨田監督が感謝するマウンドさばきだった。

 失意の北京五輪から帰国後、2戦2勝。計16回を4安打、1失点とすごみを増して帰ってきた。8月25日の合流直後、円陣の輪に立ち、日本代表の稲葉と2人でチームメートへ丸めた頭を下げた。「すみませんでした」。メダルを逃した責任をまっすぐな言葉で謝罪した。現地ではソフトバンク和田から投球時の股(こ)関節の使い方をレクチャーされ、この日の土壇場のマウンドへ生かした。メダルだけでなく、チームメートへのおみやげも購入しなかったが、成長した自分自身の姿が代わりだった。

 首位西武、2位オリックスと続く2カードの初戦で、完ぺきな仕事をした。3ゲーム以上の差がある上位2強との6試合。梨田監督が「どうしても何とか勝ち越したい」とにらんだ正念場の先陣を切り、勢いをつけた。開幕前にはパ3連覇、日本一奪回を目標として公言してきたダルビッシュも、冷静に現状を分析。「何としてもCS第1ステージに行きたい」。照準を下方修正し、まずはAクラス確保へと気持ちを切り替えた。奪三振でリーグトップに立ったが「そんなことはどうでもいい。終わってみて、勝っていればいい」。エゴを封印し、フォア・ザ・チームに徹した。

 ヤンキースのスカウト部門トップのジーン・マイケル特別アドバイザーらメジャースカウトらがネット裏に集結。サエコ夫人も駆けつけた一戦だった。今季7敗1分け、自身も5月7日にプロ初のサヨナラ負けを喫した鬼門の西武ドームと、雑音だらけの大一番に惑わされることなく、役割を果たした。公式戦は残り3試合の先発予定。「全部、勝てるようにしっかり調整していく」。日本ハムの中心に力強く根を張る大黒柱がいる限り、まだ夢を見ることができる。【高山通史】

 [2008年9月10日10時58分 紙面から]


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