日本プロ野球組織(NPB)側は11日、田沢の大リーグ挑戦表明に強い遺憾の意を表明した。都内で緊急の12球団代表者会議を行い、終了後に「田沢選手とアマチュア選手獲得ルールについて」と題した声明文を発表。「今回、MLBの一部の球団によって、これまでの慣行が破られようとしているのは誠に遺憾である」と異議を唱えた。

 現在、大リーグ球団が日本のアマ選手と交渉する場合について特段の制限はなく、日米球界間に「互いのドラフトを尊重する」という紳士協定があるにすぎない。だが声明では「これまで日本のドラフトルールに反してMLB球団と契約を交わした例はなく、この事実こそが紳士協定を超えて、事実上暗黙のルールとして働いてきたことを証明している」と強調した。

 NPBは11日朝にMLBに連絡を取り、長谷川コミッショナー事務局長らがWBC会議出席のため渡米中の16日に、今回の件について日米間で協議することで合意した。また12球団でMLBスカウトの事前接触の制約などルールづくりの必要性を確認し、委員会の設置と19日に第1回会合を行うことを決めた。

 また声明には、従来の有望アマ選手と同じく田沢を今秋のドラフト指名対象とする姿勢を盛り込んだ。社会人選手はプロ志望届の提出が義務づけられていないため指名も可能。横浜山中専務は「(指名しないでくれと言われても)はい分かりましたというわけにはいかない。必要な選手と考えれば指名する」と話し、日本ハム島田チーム統轄本部長も「うちはどこに行くと言っても指名する球団だから」と強行指名の可能性を否定しなかった。

 長谷川事務局長は「本人の気持ちは十分尊重したいが、これまで日本の優秀なアマ選手は日本のプロ野球を経て、ルールにのっとってメジャーに挑戦してきた。やはり日本の優秀な人材はまず日本のプロ野球に入って欲しいという基本的な考え方は、わが日本プロ野球として何も変わっていません」と語った。