オリックス清原和博内野手(41)がファンの「とんぼ」の大合唱を受けて、ユニホームを脱ぐ。10月1日ソフトバンク戦(京セラドーム大阪)後の引退セレモニーで、「アニキ」と慕う歌手長渕剛(52)が清原のテーマソングでもある「とんぼ」を生でフルコーラス歌うことが12日、明らかになった。球場では特大スピーカーを設置。清原の引退あいさつに長渕が熱唱で花を添える。

 清原の感動の幕引きを長渕が演出する。巨人時代から清原が打席でのテーマソングにしてきたのが、長渕の持ち歌の「とんぼ」だった。不遇の巨人時代、そしてオリックスでは度重なるケガとの闘い。心が折れそうになるたびに、清原はとんぼを聴いてきた。

 「あの歌はオレの生き方と重なる。くじけそうになったら、とんぼで気持ちをリセットしての繰り返しやったな。ひと言では表現できない思いが、あの曲にはある」と、話したことがある。何かの別れ際にも必ず口ずさんできた。

 義母、オリックス仰木元監督の死、そして巨人との別れ…。カラオケが苦手の清原だが、「とんぼ」だけは歌った。よく歌詞の「東京のバカヤロー」に力を込めた。清原が愛した「とんぼ」への思いに、長渕がこたえる。99年、長渕のコンサートで出会ってから意気投合。それ以来の付き合いで、清原は長渕を兄のように慕っている。9年前に長渕から贈られた詩額は自らの「教訓」として自宅リビングに飾ってある。

 現在、清原は手術した左ひざ下から菌が入り、蜂窩(ほうか)織炎」で欠場中。最後の最後までケガと闘っている。長渕がそんな清原へエールを送った。「(とんぼは)今はオレの歌以上に清原和博の歌だ。いちずな道を突き進もう、強くなろうとすればするほど人は傷つきやすいんだよ。(大手術で)片足を球団へささげて去っていくんだよ、和博は。だからオレは歌いにいきてえ。お疲れさまとかご苦労さまとか軽々しく言えるもんじゃねえ」と思いを語った。

 10月1日のソフトバンク戦は超満員の3万人以上が予想される。ファン、長渕の「とんぼ」の大合唱で引退に花を添えるが、長渕は「和博は人の痛みが分かる男。(将来)きっといい監督になれるよ」と、第2の人生の出発を祝う歌にもなる。