<阪神1-1横浜>◇23日◇甲子園
赤星が怒った!
藤本が、平野が飛んだ!
打撃不振の阪神は死にものぐるいのディフェンスで延長12回引き分けに持ち込んだ。巨人も同じくドローで同率首位は変わらない。ヤジに切れた赤星の必死さが苦しいチームの状況を物語る。この引き分けでクライマックスシリーズ進出は決定。巨人との直接対決まで何が何でも首位を明け渡すな!
優勝への渇望が、異様な緊迫感を生んだ。4時間20分の激闘が終わった直後だ。最後の打者となった赤星はベンチに戻らなかった。ネクストサークル付近から、ネット裏に向けて、何かを叫んでいた。ヤジを飛ばすファンに対しての行動だった。広沢打撃コーチが体を押さえ、なだめた。口論は終わったが、赤星の体の火照りは収まらない。「結果を見たら分かるでしょ」。試合後のやりとりには触れなかったが、5打席凡退した自らの打撃に険しい表情だった。
ヤジなど慣れっこの猛虎戦士だが、こんな場面は示すように本気で戦っている。打てなくても、本塁を守るために、全員が体を張った。延長戦の守備は大きな価値があった。岡田監督は10回表に守りを固めた。藤本を二塁で起用し、林を下げて、平野を右翼に回した。この采配がすぐに効果を発揮する。2死三塁のピンチで、斉藤俊の打球は二遊間に転がった。藤本が飛び込んで捕った。「体を温めて準備していた。ボールが見えていたから」。一塁にはワンバウンドの難しい送球となったが、一塁関本が両手でつかんだ。
1点もやらない気迫は平野も同じだ。11回表1死一、二塁で右翼手前の邪飛をダイビングキャッチ。12回にも全力疾走でファウルフライを捕球した。「みんな、必死ですから。1戦1戦、1球1球、必死です」。赤星も同じだ。6回表のピンチではダイブを敢行。先制点を許したが首痛に苦しみながらも恐れなかった。
巨人が打力で引き分けたなら、阪神は守り抜いてドローに持ち込んだ。この守備力は岡田監督が作り上げたものでもあった。オフには自ら熱望して、平野をトレードで獲得。藤本は先発出場こそ激減したが、重要な存在と認め、ベンチに置いている。「途中出場でも代打でも、とんでもない集中力を出しよる。アイツの貢献度はすごい」。そんな眼力と信頼感が苦しい状況で底力を生む。そして開幕から守り続ける首位の座を明け渡さなかった。
結果は引き分け。勝てなかった。ただ負けなかったことは事実だ。史上空前のマッチレースで、岡田阪神は一歩も引かない。【田口真一郎】



