<西武1-9ロッテ>◇24日◇西武ドーム

 これが生みの苦しみか。西武の胴上げは、またしてもお預けとなった。先発涌井が4回途中7失点でKOされ、打線は栗山の適時二塁打で1点を返すのが精いっぱい。今カードでの本拠地胴上げのチャンスを逃し、4年ぶりVは26日の日本ハム戦(札幌ドーム)以降に持ち越しとなった。

 勝てば、自力優勝が決まる一戦。先発マウンドを任された22歳涌井が苦しむ姿は、若いチームにも伝染した。伸び伸び野球で王手をかけた打線も、沈黙した。目に見えないプレッシャーなのか、地元ファンの前で3戦全敗。渡辺監督は「みんなが地元で決めたい気持ちがあったけど、3日間、集まってくれたたくさんのファンのみなさんには申し訳ない」。チームを代表して謝罪した。

 思うようにいかないイライラが乱闘劇へとつながっていく。ロッテに7点を奪われた4回、なおも2死一、三塁。西武許に死球を受け、キレたベニーが暴走した。体で止めに入った捕手の細川は、太い腕を首に回されて投げ倒された。柔道なら、鮮やかな「1本」がコールされるところだが、本塁付近で両軍選手が入り乱れての乱闘に発展。100キロの体重に押しつぶされる形になった細川は左肩を亜脱臼し、交代した。

 「肩の痛みは古傷なのでたいしたことない。奥エリをつかんで踏ん張ったんだけど、払い腰で投げられたことが痛かったです」。柔道の試合で負けた選手のようにサバサバと話した。伏線は投手陣の乱調。涌井、三井に続き、この回だけで3つ目の死球をベニーに当てたことが発端だった。渡辺監督も「うちも3つぶつけてるし、仕方ない。これも野球だから」と自らを納得させるように話した。

 マジックは1のまま。乱闘と大敗で、後味は最悪だったが「これも糧になる」と渡辺監督。若いチームに課された試練を乗り越えた先に、4年ぶりの悲願が待っている。【柴田猛夫】