虎M7新井スタメン復帰猛打賞アニキV弾
<阪神5-3広島>◇29日◇甲子園
猛虎の義兄弟が爆発した。阪神が広島に5-3で競り勝ち、優勝へのマジックを7とした。約2カ月ぶりにスタメンに復帰した弟分の新井貴浩内野手(31)が3安打すれば、アニキ金本知憲外野手(40)が8回に決勝の25号2ランを放った。貧打苦しむ打線に快音が戻り、試合のなかった2位巨人に1ゲーム差をつけた。残り8戦、頼れる2人の復活でいよいよラストスパートに入る。
何度も試練を与えた「浜風」がこの日に限って、消えていた。雨空へ舞い上がった打球が伸びる。右翼フェンスを越え、スタンドの最前列で跳ねた。ここ数試合、不振で深刻な顔の目立った金本がニヤッと笑った。「本当に1カ月ぶりに仕事をしたような気がします」。同点で迎えた8回裏無死一塁。甲子園では8月28日の中日戦以来となるアーチだった。本塁を踏むと、先に生還していた新井が待っていた。手と手を合わせた。
見慣れた光景がようやく戻った。「第5腰椎(ようつい)の疲労骨折」で戦列を離れていた新井が、7月27日以来2カ月ぶりに「3番一塁」でスタメン復帰した。前半戦の首位独走は、4番とのコンビが支えてきた。口には出さないが、金本はどこかうれしそうだった。試合前の練習では、キャッチボールのパートナーになった。捕手役の新井に変化球を試し投げ、曲がりの大きさを確認。首をひねる弟分の姿に、自然と笑みをこぼした。
久しぶりに並んだお立ち台。金本は「横にいらっしゃる新井さんが、ヒット、ヒットで回してくれたので、ヒットでつなげたら、と思った。ホームランはまぐれです」とうれしそうに言った。新井が1、4、8回と、3本のシングルヒットでつないだ。これが金本に刺激を与えた。この5試合は19打数1安打で、打率は3割3厘まで落ちた。湿ったバットから6試合ぶりのマルチ安打が飛び出した。
シーズン前に、金本はこんなアドバイスを受けていた。「新井のことを人前で怒れ。そうすれば、チームが引き締まって、いい結果を生む」。2人がオフに鹿児島・最福寺で取り組む護摩行の池口法主の言葉だった。弟のようにかわいがる存在だが、あえて厳しく接することで他の選手も自分のことのように受け止め、チーム全体に波及効果があるという考えだ。金本は新井にキツイ冗談をぶつけることがあったが、すべては悲願のため。実際、チームは首位を快走した。9月に入って急失速していただけに、コンビ復活は何よりも大きい。
大観衆の前で新井は言った。「(8回は)先頭バッターだったし、でも僕のことは置いといて、さすが僕のアニキです…」。金本は「言葉がありません。僕はまだまだ…、チームに迷惑をかけてきたので、もう少しの間、アライさんに期待しましょう」と返した。これで優勝へのマジックは1つ減って「7」。「久しぶりにベストというか、メンバーがそろった。(今季を)スタートしたメンバーで最後まで行きたい」と言う岡田監督の口ぶりも自信にあふれていた。【田口真一郎】
[2008年9月30日8時28分 紙面から]
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