<西武3-4オリックス>◇29日◇西武ドーム

 オリックスが西武に競り勝ち、初のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。延長10回、1死三塁からルーキー小瀬浩之外野手(23)のスクイズで決勝点を奪った。今季の2位が確定し、99年以来のAクラス(3位以上)で8年連続Bクラスから脱出した。

 8年連続Bクラスの長いトンネルを抜けた大石監督は「本当に苦しんで…。選手が本当によくやったと思います」と目尻を下げた。初のCS進出だけでなく2位が確定。勝負を決めたのは、大石監督の執念の采配だった。

 3-3の延長10回、ローズが二塁打で出塁。すかさず代走に森山を送り、北川には送りバントさせて1死三塁とした。打席に小瀬を迎え、スクイズのサインを出す際には体が「震えました」。小瀬が投前に決勝のスクイズを決め、ベンチでは両手を広げ迎え入れた。

 今季はシーズン途中までヘッドコーチとしてコリンズ前監督を支えたが、選手との板挟みで眠れない日々が続いた。2月のキャンプ時から体重は7キロ減。だが弱音を吐くことはできなかった。5月20日、前監督辞任で監督代行就任を伝えられ、「前監督を支えられなかった責任がある。自分まで投げ出すわけにはいかない」と承諾した。

 8月に監督に就任し、機動力を前面に出す野球でローズ、カブレラにも重盗のサインを出した。小瀬、坂口の俊足コンビに打席が続けば、走者がいても簡単にはバントで送らない。「自分たちには力がある」と選手たちの眠っていた闘争本能を目覚めさせた。

 投手陣にもプレッシャーをかけなかった。先発は中5日以上を維持。疲れの見え始めた中継ぎには「5回のうち全部を抑えようとしてくれなくていい。3、4回良ければ十分」と追い込まなかった。前監督とのはざまで苦しんだ経験があるから選手を守った。

 勝っても眠れなかった。「どうでもいいようなことを考えるんですかね。胃は痛まないんですけど、頭が痛い」と監督職の重圧ともたたかっていた。28日の試合で初めて胃が痛くなり、「煮詰まってきましたね」と、自分を追い込んでいた。

 一時は借金が最大で11まで膨らんだが、執念は結実した。「まずは第1目標ですから、決められて良かった。最高の気分だ。ちょっと興奮状態です」と笑った。監督が途中交代した時点でBクラスだったチームをAクラスに押し上げたパ・リーグの監督は初めて。穏やかな一夜の眠りの後、新たな歴史が始まる。【今井貴久】