<阪神5-3広島>◇29日◇甲子園

 これぞ今岡、これぞ猛虎の5番の放物線だ。新井がスタメンに戻り、5月以来となる開幕時の5番に戻った。その第1打席でいきなり値千金の先制アーチを放った。2回、先頭で打席に立った。ボールカウント2-2から広島青木高の外角いっぱいのストレートを強振。打球はバックスクリーン右へ、突き刺さるように伸びた。

 「最高ですね。いいバッティングができて良かったです」。広報を通じてのコメントでは「最高」という言葉を使った。147打点でタイトルをとった05年には「理想のバッティングはセンターバックスクリーン方向へ伸びていく打球」と話したこともある。まさに思い描いてきた弾道を取り戻した。

 9月11日の劇的バースデー復活弾から、これで16試合で5本塁打15打点。完全復活の手ごたえは増すばかりだ。「チームが勝ったから良かった。(5番復帰について)そんなのはどうでもいいよ」。4回無死一、二塁の好機では併殺打に倒れた。前日28日には「9月11日に上がった時の気持ちでやる。シーズン終わるまでその気持ちを持ってプレーしたい」と語った。その懸命さが、阪神AKI打線の重要な締めを全うすることにつながる。