巨人原監督長嶋さん超えた!13差大逆転!!
<ヤクルト1-3巨人>◇10日◇神宮
巨人が最大13ゲーム差をひっくり返すセ・リーグ史上最大の逆転劇で、2年連続32度目のリーグ制覇を飾った。優勝マジック2で迎えた10日のヤクルト戦(神宮)。3-1で勝ち、直後に阪神が横浜に敗れたために決定した。お立ち台で原辰徳監督(50)は「歴史をつくり、伝説をつくったと思う」と喜びを表現。セの連覇は92、93年のヤクルト以来で、巨人は89、90年の藤田政権以来の連覇。昨年果たせなかった日本一奪回へ、まずは22日からクライマックスシリーズ(CS)第2ステージ突破を狙う。
だんだんと、高くなっていった。2回、3回目で、1度は崩れそうになった胴上げだった。歓喜の輪は、横にずれながらも立ち直り、原監督の体は8度、舞い上がった。「すごい選手たちです。素晴らしい」と第一声で選手をたたえる声は、震えていた。真っ赤に充血した目が、奇跡を達成させた証しだった。監督として3度目となる勝利の儀式だが「やっぱり13ゲーム差は苦しかった。優勝を達成できた充実感は違います」。球場にこだまする“辰徳コール”が、奇跡の逆転Vのフィナーレを飾った。
コーチから監督に就任し、選手とともに闘ってきた。殴ったこともある。泣きじゃくる選手をしかったことも、慰めたことも数しれない。選手との接し方、付き合い方、導き方の概念は変わっていった。監督就任1年目、監督として大先輩である星野監督からアドバイスをもらっていた。
「選手は信用しても信頼するな」-。
原監督 選手と接するとき、信用したふりをするのはいいけど、決して頼ってはいけない、というふうに理解した。当時は「なるほどなぁ」と感心した。信用しなければ、チームはまとまらない。でも、当てにして裏切られたとき、チームはダメージを負う。そこら辺のさじ加減が大事だってこと。でも今の選手は、我々の時代と気質も考え方も違う。星野さんとオレのキャラクターだって違う。自分なりにアレンジしないといけないと思った。
失敗を通じて導き出した答えだった。再び監督に就任した06年のシーズン、けが人が続出した。体調の悪い選手に「今日は試合にいけるか?」と聞く。ほとんどの選手は「大丈夫です」と答える。信用し、起用するとパンクし、長期離脱してしまった。
原監督 こちらも実際、故障するかもしれないと疑っている。だから本人に確認するんだ。みんなじゃないけど、昔の選手は「大丈夫=これからも絶対にケガをしない」だった。でも今は「大丈夫=ケガをしても動ける覚悟はできています」という意味合いが強い。信用したふりをすると意気に感じ、それで大ケガをして終わってしまう。頼ったらいけない。危機管理をしなければいけないけど、チームには頼らなければいけない選手がいる。それに信用も信頼もなければチームはまとまらない。頭を悩めたね。
自らのキャラクターにもよるが、自分流の答えを見つけた。
原監督 選手は信用しない。しかし、起用したからには、とことん信頼する。危機管理も大事だが、できないことがある。その場合は、失敗したときの責任をすべて背負う覚悟を決める。
選手の体調を確認するが、不安を感じたときは「大丈夫だから出たい」と言っても却下した。今季は小笠原、谷、二岡など、オフに手術した主力や内海、木佐貫、阿部などキャンプやオープン戦でケガをした主力が多かった。強制的に練習を休ませたり、出場させなかったり、途中欠場させる試合は多くなった。調子を上げられなかった主力もいるが、突発的な大ケガもなく、コンディションを整え、ラストスパートにつなげたのは“原流”の新しい操作術があったからだ。
チームの再建を進める上で、嫌な思いや、苦しくなる時がある。そんな時は、監督辞任した5年前を思い出した。
原監督 ジャイアンツを強くしたい。その思いが強すぎてうまくいかなかった。でも、オレがケツをまくったせいで、チームの立て直しは遅れた。ついカッとなってしまう悪いところがある。怒ってしまうのは、チームを強くしたいと思う気持ちが強いから。でも、それで怒って投げ出していたら、本末転倒だろう。ジャイアンツを強くしたいという気持ちは誰にも負けない自信はある。
セ・リーグでは15年ぶりの連覇になり、巨人では18年ぶりの連覇になる。「常勝・巨人軍」。忘れかけられているフレーズは、原監督とともに復活した。【小島信行】
[2008年10月11日8時44分 紙面から]
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