<セCS第1ステージ:阪神7-3中日>◇第2戦◇19日◇京セラドーム大阪

 CS7戦目で初黒星だった。試合後、中日落合監督は無表情で監督室から出てきた。「立ち上がり?

 いいじゃない。きょうの試合に初めて投げられただけでも成長しているってことだろう」。先発チェンが、中田が、背信の投球で自滅したが、試合を振り返ることはしなかった。

 最初の誤算は先発チェンだった。初回1死一、二塁から金本に真ん中に入った直球を中前にはじき返されて先制された。CS初登板の緊張からか変化球でストライクが取れず、直球にも威力がない。続く鳥谷への2球目。135キロの力ない直球は右翼席への3ランとなった。短期決戦では重すぎる初回の4失点。「きょうは悪すぎた。緊張感、大事なゲームというのがあった。もうちょっと強くならないと。気持ちが弱い」。チェンはうなだれた。

 勝機はあった。2回に井端の適時打で1点を返し、6回には森野の2試合連続ソロで2点差とした。だが、6回からマウンドに上がった中田が先頭の鳥谷にソロを浴びるなど3安打2四球、2暴投で3失点。1死しか取れずに降板した。首脳陣は今季不振にあえいだ中田の復活に期待し、フェニックスリーグから15日に1軍合流させ、出場選手登録したこの日に即登板させたが、結果は裏目だった。試合後、中田は報道陣に何を聞かれても前を見つめたまま無言を貫いた。

 すべては20日の一戦で決まる。阪神に6勝17敗1分とたたきのめされた今季は逆襲を誓ってCSへ臨んだ。落合監督は覚悟を示すように「きょうと明日では戦い方が違う。手の打ち方が変わるよ。きょう(投手を)使い切るわけにはいかないだろう」と最終決戦に総動員で臨むことを宣言した。【鈴木忠平】