<セCS第2ステージ:巨人6-2中日>◇25日◇第4戦◇東京ドーム

 主砲のバットが日本シリーズ出場を決めた。巨人アレックス・ラミレス外野手(34)が2-2の8回、クライマックスシリーズ(CS)第2ステージ2本塁打目の決勝2ランを運んで、CS・MVPに輝いた。先発高橋尚成投手(33)は7回1失点と好投。9回は守護神マーク・クルーン投手(35)が締めた。昨年日本一の中日は1勝のアドバンテージが大きく、力尽きた。

 完ぺきな一振りだった。打球の行方を確認するまでもなかった。球場を下から突き上げるように起こった歓声の中、ラミレスは握りしめたこぶしを体に引きつけるようにして喜び、走りだした。「すごくいい感触。最高の気分だったよ」。ベンチの前で待ち受けた原監督とガッチリ抱き合った。そのままナインとのハイタッチに行こうとし、監督をよろけさせるほど興奮していた。

 同点に追いつかれた直後の8回だった。円陣を組み、必勝を期した。寺内が二塁打で出塁すると、相手捕手の谷繁の心理を読みながら打席に向かった。自宅にある対戦相手のDVDは、投手を研究するのはもちろんだが、最近は捕手の研究に主眼を置いて観るようになった。「日本の野球は捕手が投球を組み立ててることに気づいたんだ」。頭の中にはリーグを代表する捕手、谷繁のデータがしっかり入っていた。4回のチャンスには初球を右打ちし、右飛に倒れていた。また右打ちしにくい球で攻めてくると直感した。だから初球、真ん中高めの球を迷いなく引っ張れた。

 小笠原の死球に奮い立った。「打席でやり返してやろうって思ってました」。チームメートへの愛情は深い。ベンチではナインや、コーチが、次から次に近づいてきては握手や抱擁を求められた。支えてくれた宮村通訳とも抱擁を交わし、最高の場面での1発を喜んだ。今季、幾度となくチームを救ってきた主砲には、打って欲しい場面で打ってくれる頼もしさがあった。持ち前の人懐っこさと相まって、チームに溶け込んだのも当然だった。

 このシリーズ中、自宅から通うことを許された。チームメートは東京ドームに隣接するホテルに宿泊している。特権を与えられた分、活躍しなければという気持ちがあった。シーズン中と変わらないように、エリザベス夫人の手料理と大好物の中華料理で英気を養った。しっかり準備して臨んだCSだった。「状況によって取り組み方は違うけど、結果を出してやろうと、強い気持ちでいったのが良かった。まだ第1歩。日本シリーズという目標があるのでね」。MVP男の眼光は一瞬だけ鋭さを取り戻し、再びにこやかな笑顔になった。【竹内智信】