第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に関する体制検討会議が27日に都内で行われ、巨人原辰徳監督(50)に日本代表監督を要請することを全会一致で決めた。会議の座長を務める加藤良三コミッショナー(67)の提案に他のメンバーも同調。異論は出ずに1時間で会議は終了し、会見で同コミッショナーが発表した。28日、正式要請し、受諾された段階でコーチや選手の人選を急ピッチでスタートさせる。第1回の優勝監督でもある王貞治コミッショナー特別顧問(68)は全面支援を約束した。

 迷走を続けたWBC監督人事が、巨人原監督に一本化された。第2回体制検討会議は第1回よりも短い1時間で終了。会見した加藤コミッショナーは「原監督を最優先としてお願いすべきではないか。王特別顧問も私にも異存はございません」と原監督への要請で全会一致となったことを発表した。また「日本シリーズを控えた監督を煩わせるのは本意ではありませんが、日本野球発展のためになるべく早い段階にお願いしたい」と近日中の正式要請も表明した。

 これまでの迷走がうそのように、あっさり決着した。選手選考なども話し合った第1回の会議とは異なり、議論は監督人事に集中。星野氏の固辞で、現役監督も含めて考える前提で議論が進んだ。王特別顧問が「ノムさんはどうなの?」と楽天野村監督に水を向けたところ「オレはいいよ」とやんわり否定。そこで加藤コミッショナーが原監督の名前を出すと、異論もなく会議がまとまった。

 加藤コミッショナーは「経験、実績、野球界においての世代の交代。もろもろの要素を総合的に勘案して原監督にお願いすることがベストだろうと考えた」と説明した。王特別顧問は「前回から2週間、いろいろな展開がありました。星野監督が辞退するということで白紙に戻った。結局は現役監督がいいだろうということで原監督の名前が出ました」と経緯を明かす。ただもともと、星野氏の辞退を待つまでもなく、若さと実績を併せ持つ原監督は加藤コミッショナーの頭にあった候補だった。「現役監督は困難」という足かせが外れれば決着は早かった。

 最大の懸案にめどが立ったことで、今後は急ピッチで進んでいくとみられる。加藤コミッショナーが28日、滝鼻オーナーに正式要請を行う。受諾となればコーチ人事に着手し、同時に選手への出場意思確認作業も開始する。日本人大リーガーも含めて11月中には候補選手をそろえ、来年2月15日開始の代表合宿に向け準備を進めていくことになる。

 第1回WBCで監督を務めた王特別顧問は全面協力を約束した。チーム編成に不可欠な日本人大リーガーの招集など、果たす役割は多岐にわたりそうだ。原監督には「大変とは思いますが私の経験も参考にしてもらえれば。何とか彼にやってもらいたいと思います。(打診の際は)必要があれば私も一緒に行きます」と熱いメッセージを送った。巨人の伝統を受け継いだシーンを再現するように、「王」から「原」へとバトンが託された。【大塚仁】