西武との日本シリーズを11月1日に控え、巨人先発投手陣が登板日をにらんだ調整に切り替えてきた。初戦はエース上原の先発が濃厚。第2戦には、今季開幕投手を務めた高橋尚成投手(33)を起用する可能性が、30日の調整から浮上した。生え抜き同学年コンビで、本拠地での短期決戦序盤を制す。

 東京ドームでの全体練習2日目。経験豊富な先発陣が、与えられた大役に向け粛々と準備を進めた。初戦先発が濃厚な上原が、外野ポールからフェンス添いを60メートルダッシュ。本番に向け徐々に距離を詰めていく、普段通りの光景だった。

 エースの横を抜け、センターまで強めのランニングを繰り返したのが高橋尚だった。左腕が登板3日前に必ず行う調整。大切な第2戦先発に急浮上した。一方、中日とのCS第2ステージ初戦に先発したグライシンガーはこの日、登板3日前の必須事項であるブルペン投球を行わず、軽めの調整に終始した。助っ人右腕は交流戦で西武と対戦し、2戦2敗。「しばらく間が空いたから、必ずしもいつも通りの調整とは限らない」と話したが、遠投などで着々と調整する左腕内海と比較すれば、4戦目に回ることが有力となった。

 入念に体のケアを終え、遅く球場を後にした高橋尚は、静かに決意を語った。

 高橋尚

 ソロ本塁打なら仕方がない面もあるが、簡単に初球を打たれないよう、気をつけて。西武は中日に近いイメージがある。自分のペースで投げることが大切。100%の力を出せるよう、今の状態を維持したい。

 25日のCS第4戦、7回1失点の好投で日本シリーズ進出を決める原動力となった。大一番の経験、実績ともに申し分なく、大役を任されるのは自然な流れといえる。頼れる左右両輪を立て、連勝で敵地に乗り込む。【宮下敬至】