<日本シリーズ:巨人1-2西武>◇第1戦◇1日◇東京ドーム
巨人先発のエース上原浩治投手(33)が2発に沈んだ。立ち上がりから好調だったが、5回、後藤に同点ソロ。6回に中島に手痛い勝ち越し弾を浴びた。上原は10月以降負けなしの“不敗神話”を続けていたが、痛恨の黒星を喫した。自慢の打線は主砲アレックス・ラミレス外野手(34)が2併殺打など、わずか2安打1得点と沈黙した。
両手をひざについた。下を向いた。動けなかった。この投手戦で持つ1点の重み。上原はエースだからこそ、よく分かっていた。
上原
しゃあないです。内容どうこう、の試合じゃない。勝たないといかん。
6回2死、中島に浴びたアーチは外角直球。外角を続けた3球目だった。直前の2球目、タイミングの合ったファウル。それでもバッテリーの選択は、同じコースだった。
伏線は4回、中島の第2打席にあった。カウント2-0から死球。内角を思い切り攻め、珍しく直球が抜け背中に当てた。クルリと背を向け気持ちを切り替え、後続を断った。が、5回の先頭、後藤に浴びた本塁打も内角直球を狙った逆球をはじかれたものだった。
立ち上がりから直球が走り、MAXは今季最速の145キロ。ガンガン内角を突いた。中島にぶつけた1球をきっかけに、ほんのわずかほころんだ内角の制球。「(後藤への)1本目も逆球だからね…」。百戦錬磨の上原にとって悔やまれる“3球”だった。
6年ぶり日本一へ。初戦のマウンドを任されるにまで、復調してきた。半年前。2カ月間、再調整のためジャイアンツ球場で過ごした。10年も巨人のエースとして君臨してきた。常に誇りを失わなかったから、はい上がれた。
連日ブルペンに入ったが、この間、フォーム指導を受けている姿を見た者はいない。すべての練習を終えた後、クラブハウスでVTRを見て反省、翌日の練習で反映させた。エースを預った小谷2軍投手コーチの指導法だった。「もがいてる姿を人に見せたくない。彼は巨人が優勝できなくて苦しんだ時、1人で頑張ったエース。そんなに安い男じゃない」。指導歴30年を超す名伯楽が、「巨人エース」の重みについて考え、取った選択だった。上原は「言葉少なだけど分かりやすくて。思い出しながらやってる」。西武との雌雄を決する第1ラウンドで、1歩も譲らぬ投手戦を演じた。最高の結果こそついてこなかったがエースの執念を示した7回2失点だった。
原監督も初戦黒星を悲観していない。「上原もいい状態でシリーズに入ってくれた。いい緊張感の中で、結果はこういう形になったけど、選手は英気を持ってやってくれている」。上原がやり返す機会は、まだ残っている。【宮下敬至】



