<日本シリーズ:巨人1-4西武>◇第6戦◇8日◇東京ドーム
ラッキーボーイが暴れまくった。3試合ぶりにスタメンに抜てきされた西武の平尾博嗣内野手(32)が、初回に満塁の走者一掃の先制二塁打、5回には2試合連続本塁打と全4打点をたたき出した。6日の第5戦で左脇腹痛のため途中交代した中島裕之内野手(26)も強行フル出場し、1安打2四球で3度出塁して2点目のホームを踏むなど気迫でプレーし大黒柱の役割を果たした。
相手の力を逆利用した、平尾らしい技の1発だった。2点リードの5回先頭打席。4回まで8残塁の重苦しい雰囲気を打ち破るひと振りだった。インサイド高めに抜けた西村の148キロをコンパクトにたたき返した。「追い上げられた後の先頭打者だったので、何とか塁に出ようと思った」。安打狙い、インパクトに力を込めた結果が、ライオンズブルーで埋まった左翼席中段まで伸びていった。
6日の第5戦、試合は3-7で完敗したが、最終回にクルーンから左翼席にソロを放った。5点差が4点差になった「焼け石に水」の1発も、渡辺監督は大喜びで平尾を出迎えた。中島、細川が負傷で途中交代した中での、明るい材料。平尾の先発起用にめどがついた。公式戦の代打打率3割3分3厘。指揮官は、一発勝負に強い平尾を追い込まれた一戦で躊躇(ちゅうちょ)せずに送り出した。
サブ、伏兵とは言わせない。先制点も平尾のバットから生まれた。初回2死満塁。カウント1-1から3球続いた内角直球に食らいついた。左中間を破る3点適時二塁打。「王手をかけられているので、絶対に先取点が欲しかった」。3回の第2打席では遊撃内野安打で3安打。この試合の全4打点をたたきだした。
スタメン最年長の32歳。38歳江藤とともに、若手へのご意見番としてベンチの引き締め役も担う。9月23日の楽天戦、リーグ優勝へマジック1で迎えた夜だった。2点リードで迎えた最終回に5点を奪われ敗戦。思わぬ足踏みで、チーム内に重い空気がまん延していることを察知した平尾は主力全員に携帯メールを送った。「ここで焦ったほうが負け。最後まで1年やってきた野球をやろう」。時に厳しく小言をいい、ベンチの安定剤として機能した1年だった。この試合も細川が欠場したように、チームは万全の布陣で最終戦に臨める状態ではない。「こういう時こそ総力戦。みんながまとまって明日は絶対に勝ちたい」。脇役が、手負いのベンチに活気をもたらした。【山内崇章】



