金本と新井に火炎地獄が待ち受ける。阪神新井貴浩内野手(31)は23日、西宮市内の兵庫医科大学で講演を行った。その場には、新井が金本知憲外野手(40)とともに、オフの恒例行事としている護摩行の師、鹿児島・最福寺の池口恵観法主(72)も同席。法主は今年の行に、過去最大の護摩木3000本を準備することを明かした。炎の前での過酷な修行は、3時間近くも続く。金本、新井の3冠王を願う法主の「親心」ではあるが、ちょっと熱すぎませんか?

 かつてない炎が、2人の魂を激しく揺さぶる。金本と新井が恒例行事としている護摩行で、過去最大の試練が待ち受ける。ありきたりに言えば火炎地獄。池口法主が、荒行の一端を明かした。

 池口法主

 今年の2人は(護摩木)3000本です。今まで金本選手が2500本をやっていますが、3000本はない。これを乗り越えてその量を当然としてもらわないといけない。

 新井は今年1月、約2時間も火柱の前で不動真言を唱え続けた。その時に燃やされた護摩木は2000本。今度は1・5倍の量が準備されて、時間も2時間40分程度になるという。「2人は(火で)やけどしないレベルになっている。もうちょっと強くしたほうがいいんじゃないかな。2500本の時は手足がしびれるといっていましたが、耐えられるかどうか」。もちろん3000本は、2人に対する強い期待の表れだ。「2人に1度は3冠王をとってもらいたい」。

 個別の狙いもある。池口法主は、労組日本プロ野球選手会の新会長になる新井に、新人や2軍選手の待遇改善に尽力することを求めた。その上で「日本のプロ野球を引っ張っていくわけだから。しっかりしてもらわないといかん」とくぎを刺した。新井はこの日、護摩行について「毎年、怖さというものはあります。いくこと自体が鍛えることにつながる。とにかくしんどいから」。

 金本に対しては、新しい修行も準備する。池口法主は「体と心と言葉、これを一体にさせる禅のようなことをさせる。火の強さというよりも、そちら(禅)をやると思います」。鉄人をさらなる高みに導く取り組みを用意して待つ構えだ。

 金本と新井が例年1月に行う炎の荒行。まだ日時は未定だが、初めての領域に踏み込む2人が、激しい炎に身をさらして、来季の戦いに備える。【益田一弘】