今オフ、FA宣言してメジャー挑戦する広島高橋建投手(39)が25日、メジャーでの「プロ初優勝」を目標に掲げた。先週末に契約を結ぶPEG社の代理人と会い、要望を伝えた。すでに米国の複数球団からオファーを受けているが、最善の決断を下すためにも12月までじっくり待つ姿勢で、長期戦になる見通しだ。広島でプレーした14年間は優勝を果たすことができなかった。まだ見ぬ最高峰の舞台で頂点を目指す。

 壮大な野望を抱いて、メジャーに挑戦する。今季、幾度となく大リーグの模様をテレビで見ていた高橋建にはあこがれの光景があった。昨季まで、ともに白球を追ったドジャース黒田が泡にまみれて喜んでいた。ベテランの胸中には「優勝」の2文字が刻まれている。

 高橋建

 黒田がシャンパンファイトやりましたし、周りの外国人も無邪気な笑顔で話してましたから。優勝したいのは確か。優勝したいのは1つの希望です。

 今季までプレーした広島では14年間、Vとは無縁だった。偉大な先人に続く意気込みだ。日本で優勝できず、大リーグで初優勝した日本人選手には野茂(当時ドジャース)や伊良部(当時ヤンキース)らがいる。今季はドジャースがナ・リーグ西地区を制し、黒田も初戴冠。昨季までのチームメートの喜びを目の当たりにして、まだ見ぬ優勝への思いは一層強くなった。

 メジャー入りに向けて、着々と準備を整える。先週末には代理人契約を結ぶPEG社の担当者と打ち合わせを行い、今後の方針などについて話し合った。先発としてのこだわりを持ってやってきた。悩みに悩んでFA宣言し、交渉解禁となった20日には複数のメジャー球団からオファーがあった。その上で、先発として高く評価するメッツが最有力と見られる。それでも、当面は静観し、オファーが出そろうのを待つ構えだ。

 高橋建

 多分、早く決まらないと思う。12月に入ってからでしょう。まだ決まっていないので。希望通りに行けばいいと思います。

 来年4月に40歳を迎え、史上最年長でのメジャー挑戦となる。すでに自宅にはメジャー公式球も届き、感触を確かめている。「その日その日にできることをやるだけ。(球団が決まって)その日に合わせてくれと言われたら、その日に合わせられるよう、しっかりやるだけ」。この日は広島県内で催された広島のバッテリー会ゴルフに参加。「広島高橋建」として、1年間戦った仲間との交流を温めた。日々、最善を尽くし、ベストのプレー環境を探る。【酒井俊作】