赤ヘルの両雄が魅せた!

 広島OBの集う「カープOBオールスターゲーム」が6日、広島市民球場で催され、主砲として活躍した山本浩二氏(62)や衣笠祥雄氏(61)らが参加した。試合で山本氏がクリーンヒットを放ったほか、ホームラン競争では衣笠氏が快音を披露。猛打で鳴らした往年の姿をほうふつさせた。今季限りで本拠地の役割を終えた同球場での“ラストプレー”。3度日本一に輝いた「伝統」を来季から新球場で戦う後輩に託す。

 広島市民球場が瞬く間に黄金時代へと「タイムスリップ」した。2万8000人の観衆が「コージ!」と口々に叫ぶ。スタンドには鉄人の似顔絵を掲げるファンもいる。小雪が舞う寒さを吹き飛ばす熱気に包まれていた。オールスターゲームの7回裏1死。1度退いた山本氏が再び打席へ。左腕・大野豊氏の外角129キロ速球を力強くミートし、ライナーで右前に運んだ。

 山本氏

 懐かしいです。ユニホームを着ると、みんなウキウキする。我々は野球人ですね。(球場の)思い出はたくさんありすぎてなかなかね…。ここでプレーして、優勝も味わって。すべてが思い出ですね。

 汗や涙が染み込んだフィールドで最後の真剣勝負。見事に“惜別のヒット”を放ってみせた。広島出身の山本氏にとって、ここは野球人生の「原点」だった。

 山本氏

 10歳のとき、市民球場のオープニングゲームをね、ナイターをテレビで見たのを、いまも覚えています。球場に通って応援するようになった。カープの一員になって、そんな幸せなことはないですね。

 本塁打王4回、打点王3回…。通算536本塁打を重ねた、ミスター赤ヘルの力強い打撃をほうふつさせた。この日、衣笠氏を見つけると、おどけて声を掛ける。「キヌより走れると思うね!」。現役時代、2215試合連続出場の大記録を樹立した鉄人も笑顔でやり返す。「盗塁は無理だろ!」。歳月は流れた。年輪も重ねた。だが野球への愛は変わらない。山本氏は「仲間に衣笠選手がいて、お互い負けたくない気持ちで張り合った」と振り返る。両雄は聖地で並び立った。

 ホームラン競争では衣笠氏に軍配が上がる。サク越えこそなかったが、左翼に鋭い打球を連発。フェンス直撃のライナーも披露した。

 衣笠氏

 昭和50年にチャンピオンフラッグが初めて広島の地に来た。ファンのどよめきが忘れられない。感動しました。「ありがとう」のひと言。この球場に出会えて今の衣笠がある。

 通算504本塁打の打撃だけでなく、愛着ある三塁守備も手堅くこなした。衣笠氏は後輩たちに「キレイな球場に負けないようプレーしてほしい。新しい球場で歴史をつくって欲しい」とエールを送る。みんな広島市民球場が好きだった…。そして、舞台は新球場へ。先人が築いた伝統は受け継がれ、新生カープの力に変わる。【酒井俊作】