ソフトバンク松中信彦内野手(34)はWBC日本代表第1次候補入りに「初代4番」の看板を返上した。前回は全8試合で4番を務め、チーム首位の打率4割3分3厘。長打を捨て、つなぎを意識した打撃で世界一に貢献した。原監督や王相談役から“続投”を推す声も上がったが、この日福岡ヤフードームで練習した松中は「前回はその前にしっかり成績を残したけど、今回は残していない」と謙虚だった。4番の重責を知るからこそ「立場が違う。選ばれるよう準備をする」と3度も繰り返した。

 06年大会は実績でつかんだ。04年に平成唯一の3冠王になり、翌05年も最多本塁打、最多打点の2冠。押しも押されもせぬ日本の4番だった。しかし昨年は5年ぶりに打率3割を切る2割6分6厘、自己ワーストの15本塁打と低空飛行。25本塁打と復活の兆しを見せた今季にしても「終盤は失速した」と不満を残した。それだけに「今回は(最終)メンバーに入るのが条件です」と、泥臭いサバイバルレースにまみれる覚悟だ。

 現在は例年より自主トレを約1カ月早めた。体重96キロをキープしたまま体幹を軸に強固な肉体をビルドアップ中。この日も福岡ヤフードームに約6時間閉じこもった。来年1月は「しっかり調整しないと」とグアム自主トレに初めて打撃投手を帯同。こだわるバットはメーカーとのアドバイザリー契約を更新せず、納得のいく1本を求め、試行を続ける。完全復活にかける思いは半端ではない。

 もちろん日の丸への執着はある。最終候補に残れば伝えたい言葉はある。「日の丸をつけて楽しみたいなんてない。そういうのがあると負ける。勝つためにどうするかを考えないと」。過去五輪2大会とWBC前回大会を合わせた通算成績は98打数37安打、打率3割7分8厘、6本塁打、20打点。豊富な国際経験と結果のある松中ゆえに説得力がある。「何とか最後まで残って原監督を胴上げしたい」。そのためにもプライドを捨てて必死に日の丸をつかみにいく。【押谷謙爾】