阪神が来秋ドラフトの目玉への密着マークを早くも開始した。PL学園の始動日の7日、阪神山本宣史(46)、畑山俊二(44)、葛西稔(41)の3スカウトが大阪府富田林市のPL球場を訪問。1年生主砲の勧野甲輝外野手を視察した。昨夏の南大阪大会では83年の清原和博以来の1年生4番を務め、2本塁打を放った勧野は、早くも10年ドラフトの目玉候補として名前が挙がっている。地元の逸材は逃さないと、阪神は2年先を見据えて徹底マークに乗り出した。

 年明けのこの時期、スカウト陣はドラフト候補の始動日に足を運ぶが、あくまでも今季のドラフト候補。来年の候補が対象となれば異例中の異例だ。PL学園OBでもある山本スカウトは、勧野について「右の野手だし、タイガースカップ(甲子園で行われる少年野球の関西王者決定戦)から出てきた選手だし。これからどこを守るかですね」と語った。

 右の長距離砲として抜群の素質を秘める勧野は、右の野手補強を近年の課題にしている阪神にとって待望の候補。富田林二中時代には、タイガースカップでスーパー中学生として注目を集めた。142キロの快速球を投げる姿を見た阪神安藤を「本当に中学2年なの!?」と仰天させた。そのころから阪神は勧野に注目し、早大・斉藤佑樹投手(2年)ら「佑ちゃん世代」の逸材がそろう来秋も勧野を筆頭候補に位置づけている。

 センバツの重要参考資料となる昨秋近畿大会でPL学園は準優勝しており、今春の勧野の甲子園デビューは確実。甲子園出場が決まれば、河野有道監督(60)は昨秋の右翼から1年夏の左翼に戻すことを検討している。マウンドデビューの可能性もある。大きな可能性を秘める16歳の成長をこれから2年、阪神は追い続ける。【堀まどか】

 ◆勧野甲輝(かんの・こうき)1992年(平成4年)7月12日、大阪府生まれ。4歳から「富田林リトルリーグ」で外野手として野球を始め、PL小でも投手、遊撃、外野手。富田林二中では「富田林シニア」に所属し、2年秋には関西大会で優勝。PL学園では1年夏からベンチ入りし、準優勝した南大阪大会では通算14打点、2本塁打を記録。現在高校通算11本塁打。好きな選手は元オリックス清原。182センチ、85キロ。右投げ右打ち。50メートル6秒8。

 [2009年1月8日11時0分

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