いきなり魔球だ!

 阪神のドラフト1位蕭一傑投手(23=奈良産大)が20日、鳴尾浜での新人合同自主トレで初のブルペン入り。捕手を立たせたまま38球の初投げを披露した。大学の先輩である湯舟敏郎氏(日刊スポーツ評論家)からアドバイスを受けた球の握り方を実践すると、ツーシーム系の変化。想定外の“新球披露”でも周囲を驚かせた。初投げをチェックした湯舟氏は「円月殺法ならぬ半月投法」とフォームの安定感に目を奪われた。

 受けた小宮山が驚いた。「手元で球が動く独特の球だった。すごくよかった」。注目のドラ1ルーキーの初投げ。それがこの時期に実現するだけでも異例だが、投げたボールも“異例”だった。いきなり魔球。蕭は新球を試し、その球は小宮山を驚かせる変化を見せた。

 今年初のブルペン投球に気持ちが高ぶったのか。蕭は15球を投げ終え、肩が温まったのを確認すると、捕手に握りを告知。ゆったりとしたフォームから、打者の手元で微かに揺れ動くムービング系の球を投じた。「球の動きは意識しなかったが、今日は指をいつもより広げて投げることを試してみた」。数球ではあったが、早くも新球を試投するという新人離れした余裕を見せた。

 大学の先輩で、球団OBでもある湯舟氏の助言がヒントとなった。同氏は右手人さし指にできたマメに注目。球をリリースする際、力のかかるもう一方の中指にはマメができてないことを指摘されていた。それを受けたこの日の投球。蕭は「湯舟さんからアドバイスを頂き、いつもは指1本のところを、今日は2本分開けて投げた」と説明。投球時に人さし指と中指の間を指2本分開けることでまんべんなく球に力を与え、さらにシュートの要領でリリースすることで「ツーシーム」を完成させてしまった。

 この日は立ち投げのみで38球。時間にしてわずか10分ほどだったが、先輩の助言を参考に新球へのきっかけをつかんでしまうあたりは、さすがドラ1といったところだ。蕭は「新球とかじゃないですけどね。球が安定すると聞いたので試した」と苦笑いを浮かべながらも、自身が持たないシュート系の新たな変化球とあって、まんざらでもない表情を浮かべた。

 13日の合同自主トレ初日、仕上がりを見た真弓監督からは「言うことない」と絶賛されたルーキー右腕。2月の春季キャンプは2軍スタートとなるが、この日のブルペン投球は、能力の高さを見せつけるには十分過ぎる内容だった。【石田泰隆】

 [2009年1月21日10時38分

 紙面から]ソーシャルブックマーク